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蜂の思い出と蜂蜜への想い

キャプテン

 

 気がついたら蜜蜂を見ていない。私が子供の頃は、毎日蜜蜂を見ていたような記憶がある。昭和40年代、街は自然にあふれかえっていた。と同時にたくさんの昆虫が身近にいた記憶がある。甲虫やクワガタも決して珍しいものでなく、後年デパートで甲虫を売っているというニュースに驚いたものだ。
 蜂でも驚いたことがある。私がまだ保育園に通っていた頃、よく祖母の家に遊びに行っていた。祖母はいつも縁側の縁に膝を折って座っていた。私が遊びに行く度に「よく来たね」と笑顔を見せる優しい祖母だった。ただひとつだけ怖いことがあった。手に細い絹糸を握って、その先には大きな黒い蜂が繋がれていた。蜂は糸に繋がれたまま、軒先を飛び回っていた。怖くて近寄れない私に「この蜂は大人しくて刺さないから怖くないよ」といつも言っていたのを思い出す。
 そういう経験があるからか、蜂を怖いと思ったことがない。私の家の裏には結構広い土地があり、今思えばその土地には所有権がいたのだろうが、私たちが朝から夕方まで遊んでいても誰にも注意されることもなかった。その広場には色んな花が咲いていて、蜜蜂がたくさんの花の蜜を吸いに飛び回っていた。蜂が飛んでいるからと怖がることもなく私たちは遊んでいた。遊びがだんだんエスカレートして「蜜蜂に触ろう」と誰かが言い出して、蜜蜂が花の中でモゾモゾしている時にそっと後ろから羽の根元と胴体を掴むことができた。そして、またそっと花に戻してあげた。特に蜜蜂が怒って襲ってくることもなく、ちょくちょく蜜蜂を捕まえて遊んでいたことを思い出す。今では到底そんな事は怖くてできない。子供って怖いもの知らずだなと我ながら可笑しくなる。
 一方で蜂は身近にいたが、蜂蜜は大人になるまで食べた記憶があまりない。もしかしたら1度くらいは食べたかも知れないが、はっきりとは覚えていない。食べたくても親が与えてくれなかったのだろう。その反動か、蜂蜜に対する憧れは相当なものがあった。
 まあ、蜂蜜は今以上に高級な食べ物だったんだと思う。
今、大人になって自由に蜂蜜を買って食べてはいるが、ふと、旅先で見つけた巣蜜はまだ口にしていない。もちろん、高級だということもあるが、今度見つけたら思いきって買ってみようと思う。
 蜂蜜は自然の中で造られる食品である。100%天然の食品というのが身体にいいということは能書きは知らずともそうだろうなと思う。
 添加物があふれている食品の数々、何十年も身体に入れていると考えれば恐ろしさを感じる。
 残りの人生、出来るだけ天然の食品を摂り、健康な生き方をしたいと今更ながら思う。しかしながら、蜂の子だけは食べれそうにはない。

 

(完)

 

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