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蜂蜜エッセイ応募作品

思い出を彩るハチミツ

かな

 

私の風邪は喉からやってくる。起床時に喉の痛みを感じるあの不快感を、子どもの頃から幾度となく経験した。苦い薬を飲みたくなかった昔の私は、すぐに母に喉の痛みを訴えた。甘くて美味しいハチミツレモンを作ってもらえるからだ。コップ一杯のお湯にレモンを絞り、甘いハチミツをたっぷりと入れたハチミツレモンは、風邪を引いた時の唯一ともいえる楽しみだった。イガイガとまとわりつくような喉の痛みに、ハチミツの温かく優しい甘さがじんわりと広がっていく感覚が好きだった。
ハチミツにはおめでたい思い出もある。大好きな親友が結婚する時には、ハチミツの入ったギフトセットを贈った。ハチミツの持つ美肌効果を存分に取り入れて、自信を持って結婚式に臨んでもらえるようにと願いをこめた。彼女はつい先日無事に出産を終えたが、出産後初めて会う時にもハチミツの小瓶を贈った。自分では買わないような洒落たラベルで、ちょっと良いお値段のオシャレなもの。妊娠期間中もハチミツが食べられないわけではないけれど、甘くて健康に良いものを味わい、産後の時間をゆったりと過ごしてほしかった。そういえば結婚式前のギフトもハチミツだったじゃないかと思い出しちょっとだけ後悔もしたが、「とても美味しかった、ありがとう!」という連絡をもらった時は、ハチミツレモンのように心が温まるのを感じた。
今はまだ赤ん坊である親友の子も、数年後には元気な男の子に成長するだろう。子どもと一緒にハチミツを味わうかもしれないし、風邪の時にはハチミツレモンも作るかもしれない。思いやりに溢れる親友は、きっと子どもにたくさんの愛を注ぐ。母親の愛情とハチミツは、どちらも優しく子どもを包み込むものだ。
時に薬として、贈り物として、家族で共有する味として。ハチミツは温かな甘さで、今日も人々の思い出を彩ってゆく。

 

(完)

 

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