みみ
はちみつ入りの豆乳。私の大学時代の彼氏が作ってくれた飲みもの。就職を機に、遠距離恋愛になってしまい、もう十年以上連絡もとっておらず、この先の会うこともないだろう。
私がバイトから彼の家へ帰るとよく、おかえり。といってはちみつの入った無調整豆乳を出してくれた。薄い膜がはっていて、やさしい香りがした。寒い日は、はちみつのとろけるような甘さでこころもからだもあたたまった。日によってはちみつの量が絶妙に変えられていて、彼のそんな心遣いが好きだった。
人を好きになること、付き合うということ、蜜月の楽しさを教えてくれてありがとう。彼は今も誰かにはちみつ入りの豆乳を作っているのだろう。その人はきっと私と同じように、満たされて幸せな気持ちになっていることだろう。
顔も知らないけど、彼が選んだ人はきっと素敵な人なんだろうと思う。二人がはちみつみたいな、やさしくて、甘いけど甘すぎないそんな毎日を送ってくれていたらと思う。
(完)
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