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蜂蜜エッセイ応募作品

医薬品ハチミツの効能・効果

渡辺 碧水

 

 医療用蜂蜜は、今(二〇二二年一月現在)、薬事法の規定に基づき、医師の処方がなくても薬局等で購入できる「処方箋医薬品以外の医薬品(非処方箋医薬品)」として扱われ、商品には一般用医薬品の第三類医薬品「日本薬局方ハチミツ」と表示される。また、医薬品として、効能・効果、用法・用量、使用上の注意等が記載されている。
 一八八六(明治十九)年六月に初めて公布された『日本薬局方』という国定の医薬品の規格基準書に記載され、百三十五年もの歴史を経過していながら薬品としての効能・効果はいまいち明快でなく、曖昧である。そのため、蜂蜜が医薬品の一つであることを知らない人が多く、ましてや薬局で買えることなどはあまり知られていない。買い求める人がほとんどいないためか、販売品の棚に置いている薬局も少ない。
 大昔から薬効があるとされながらも、おそらく蜂蜜の科学的研究がほとんどなされてこなかったことに起因すると想像されるが、最近、『第十八改正日本薬局方』が公示されたのを機に、『日本薬局方』において「蜂蜜・ハチミツ」の効能等がどのように記載されてきたかを調べてみた。
 その結果、一九八一(昭和五十六)年の『第十改正日本薬局方』になって初めて、本文の後の「解説」の中に項目「適用」があり、「配合剤の甘味料、丸剤の結合剤などとして用いる」が記載されていた。これも薬効ではなく、薬に甘みを付けたり、粉末を固めたりする場合に使うとしている。また、項目「来歴」には「世界各国において太古より用いられ、……その薬効は一種の強壮剤としても用いられていた」とある。
 本文、すなわち、約九十五年に及ぶ説明の記載は、蜂蜜の性状や比重、純度試験、灰分、貯法など、用いる蜂蜜そのものの質と維持を規定したにすぎなかったのである。
 以後、一九八六年の『第十一改正日本薬局方』では、「解説」の項目「本質」に「生薬、滋養強壮薬」が追加され、項目「適用」に「漢方処方用薬としては鎮吐薬とみなされる一処方に配合されている」が加えられた。ほとんど同じ掲載が一九九六年の『第十三改正日本薬局方』まで続いた。
 二〇〇一年の『第十四改正日本薬局方』から二〇二一年の『第十八改正日本薬局方』までにどんな進展があったかと思って見ると、残念ながら以前の記載に戻り、本文だけとなり、性状及び比重、純度試験、灰分、貯法が示されているだけだった。
 一言で要約すれば、医薬品蜂蜜の効能・効果は滋養強壮と皮膚粘膜の保護など。納得のいかない気持ちになるのは、私だけだろうか。

 

(完)

 

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