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蜂蜜エッセイ応募作品

精製蜂蜜は国定の薬だった(一)

渡辺 碧水

 

 蜂蜜の効能を調べていて、たまたま出合った論文の記述にいささか驚いた。
それは「日本薬局方では一九三二年の第五改正日本薬局方以降ハチミツおよび精製ハチミツの項目が設けられたが、一九六六年の第七改正日本薬局方二部の作製にあたって精製ハチミツは削除された」(白鳥つや子著「第七改正日本薬局方による市販蜂蜜の検査成績について」『東京家政大学研究紀要』第九集、十九頁、一九六九)というもの。  「日本薬局方」(にほんやっきょくほう)という言葉には何度も接してきたが、改めて何のことだろうとの思いが募り、まず、この言葉から調べてみた。厚生労働省のホームページには、次のように示されている。
「日本薬局方は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第四十一条により、医薬品の性状及び品質の適正を図るため、厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて定めた医薬品の規格基準書です。……日本薬局方は百年有余の歴史があり、初版は明治十九年六月に公布され、今日に至るまで医薬品の開発、試験技術の向上に伴って改訂が重ねられ、現在では、第十八改正日本薬局方が公示されています」(二〇二二年一月現在)
一般的な解説にも当たってみると、この薬局方は、薬剤師にとってバイブルのようなもので、必要不可欠な医薬品の情報が記された馴染み深い公定書で、繁用されている医薬品が収載されているのだそうだ。国が定める医薬品の「公定薬典(薬法)」とでも名付けるべき規格基準書なのである。
語源はギリシャ語の「薬」と「作り方」に由来し、そもそもは、明治時代に入って、海外から不良品・粗悪品などを含む様々な品質規格の医薬品が大量に輸入されるようになり、品質を統一する基準が必要になったためだった。
なぜ書名を「法」としないで、一般の人にはわかりづらい「方」の文字を用いるのかと不思議に思うが、江戸中期にオランダ語を最初に和訳した際、たまたま「和蘭局方」と訳したのが始まりで、そのまま今日に至ったそうだ。表現の明確化を怠った典型とも言いたくなる名残である。
その伝統と権威のある医薬品の公定書に、「蜂蜜・ハチミツ」が掲載されているのは当然のことと思っていたが、別項目で「精製ハチミツ」も載せられていたというから、初めて知り驚いたのである。今日の「精製蜂蜜」は「蜂蜜類」にも加えられないほど別物扱いを受けているからである。
【同タイトル(二)に続く】

 

(完)

 

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