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蜂蜜エッセイ応募作品

点字と蜂蜜

藤野 高明

 

 小学二年生の時、戦争が残した不発弾の暴発で視力と両手首を失った私は十八才の頃、唇で点字を触読する方法を苦心の結果獲得することが出来た。普通は手の指を使って読む点字を、私は上唇の真ん中の極狭いところを紙に浮き出したツブツブに沿わせるようにして読むのである。
 指で読む人に比べるとやはり遅いし、読む体勢も身体を前に倒すなどやや不自然なのだ長い時間読み続けると大変疲れる。それでも点字の本を読むのは、何ものにも代え難い楽しみとなったし、止めどなく湧き溢れてくる好奇心の発露ともなった。
 しかし、そこに困ったことが起きた。時々は一休みして背筋を伸ばしそして又、点字に向かうのだが熱心のあまり、又ある時は必要に迫られて点字を読み続けていると唇と口の周辺が荒れ始めたのである。冬の乾いた冷気は特に唇をあれやすくした。点字の読み過ぎが原因だと気付いたが、クリームなどを塗ってもなかなかよくならなかった。
 ある時母が、蜂蜜を唇に塗ると良いという話を聞き早速一瓶買って来てくれた。唇に塗って試してみた。もちろん蜂蜜を塗ると点字は読めないのでしばらく点字を読まない時を選んで、塗りつけるのだが、いたって甘党の私はすぐにそれを舐めてしまい、今度こそは舐めないでいようと心に誓って又塗った。そういう事の繰り返しを母は笑って聞いてくれた。蜂蜜の効果がたちまちにして現れた訳では無かったが、気付いた時にはひどい唇の荒れからは解放されていた。
 これは後で知った事だが、蜂蜜には保湿性があり又殺菌や消炎作用もあるらしい。
 点字も蜂蜜も私の人生に無くてはならないものになって久しい。

 

(完)

 

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