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まねきねこ

 

日曜日の朝はいつも朝寝坊してゆっくり起きる。テレビの音が聞こえる襖を開け部屋に入ると、息子と猫のタマが背中を向けなにやらゴチャゴチャとやっていた。息子は母が部屋に入るとニコニコして「おはよう」 と言い、テレビのヒーロー番組に夢中になった。タマの様子を見るとなにやら一生懸命舐めている。近づいてよく見ると昨日買ったばかりの蜂蜜の入れ物だった。 母は「 あー」っと声を上げるとタマは驚いて飛び上がり息子の上に逃げた。母は中身が無くなった蜂蜜の入れ物を手に取り恨めしそうに「買ったばかりなのに」 と嘆いた。「タマ! 」 と声を上げて怒った。息子は母の声に少し反応したがテレビに夢中で素知らぬ顔。タマは怒られると感じたのか息子の影に隠れた。テレビ番組がコマーシャルになると息子は、タマを抱っこして母に「はい」 といってタマを渡そうとした。タマはクルクルと回転して床に着地して奥の部屋に逃げていった。母は捕まえても仕方ないと思ったのか深追いはしない。
朝食を準備していた母が食器棚を見上げて息子を呼んだ。
「昨日一緒に蜂蜜買ったよね」「うん」
「まだ袋を開けてなかったよねぇ」「うん」
「タマはどうやって袋を開けたんだと思う? 」母は質問した。
「たぶん、噛んだんだよ、タマの歯痛いよ」 痛そうな顔をした。
「蜂蜜の入れ物の蓋は何回も回さないと開かないよね? 」
「うん、噛んだんだよ」息子は言った。
「そう? 歯形はついていないよ」
「 じゃー、手で回したんだよ」
「えー、猫が? 」母は完全に不審な目をしている。
「おかしい? 」
「蜂蜜の入れ物の袋がごみ箱に捨ててあったよ」
「本当だ、ごみ箱にある、タマすごいね」息子はごみ箱を見た。
「タマすごいね、 じゃないでしょ」
この息子は四歳の頃の私です。

 

(完)

 

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