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ミツバチと共に90年――

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蜂蜜エッセイ応募作品

メコン川の思い出

雨森 宙(あまもり そら)

 

 六十五歳で会社を退職、記念旅行としてベトナムのホーチミン市へ、四泊五日の旅に出た。妻は仕事で忙しく一人旅となった。
 二日目、前日に現地でチャーターした通訳付きのタクシーでメコン川へ。メコンの支流を手漕ぎボートで下り、中洲に到着すると蜂蜜農園と、ココナッツキャンディー工場に着いた。
 農園や工場といっても、ヤシの葉やマングローブの木々が繁茂したジャングルの中に、トタン屋根の小屋があるだけだ。すぐ近くを川が流れているため、空気が湿って灼熱の昼間の太陽熱を緩和している。影に入ると草いきれが立ち込め、涼やかな風が吹き抜ける。
 十人ほどの若い女性が板状になったキャンディーを小さく切って、それを紙で包んで、ビニール袋に入れていた。社長は作業をする横で、ハンモックでうたた寝をしている。
 テーブルの上には大きな黄色の液体が入った瓶と、小さな白い瓶が十個ずつ置いてある。通訳のタオさんが蜂蜜の説明を始める。
 「ここの蜂蜜はココナツの味がします。大きな瓶の方は一本が十万ドンで、日本円で五百円ぐらい。こちらの小さな瓶はローヤルゼリーで三十万ドンですね。日本円で約千五百円ぐらいでしょうか……」
 「ローヤルデリーと蜂蜜の違いはなんですか?」
 「季節や天候によっても異なりますが、この農園では蜂蜜が一箱辺り十五キロ~二十キロ採れるのに対して、ローヤルゼリーは 三十~五十グラムしか採れません。そして女王蜂になるメス蜂も働き蜂も、最初は同じローヤルゼリーをもらい成長しますが、三日ほどで働き蜂には花粉が、女王蜂候補には蛹になるまでローヤルゼリーで育てられます」
 「餌の違いで運命が決まるんですか?」
 「そうです。餌の違いです。しかも働きバチの寿命が約一ヶ月、女王バチには二~四年です。美容と健康と長寿にはこのローヤルゼリーも蜂蜜もとてもいいですよ。奥様のお土産にどうですか?」
 タオさんは額から汗を流し熱弁をふるい勧める。私は女王にしてやれなかった罪滅ぼしにと、奮発してローヤルゼリー十個と蜂蜜の大瓶三個を購入した。
 妻と私はそれが切っ掛けで蜂蜜のファンになり、紅茶に落とし毎朝飲んでいる。今では妻の美貌(?)と、夫婦の健康維持には無くてはならないものとなった。

 

(完)

 

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