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蜂蜜エッセイ応募作品

働くということ

能村 将之

 

 「ティースプーン一杯分」。
 一匹のミツバチが一生かけて集めるハチミツの量だそうだ。聞いた時にはそんなに少ないのかと驚いたが、働きバチの寿命が1~6カ月くらいと知ると、まぁそのくらいかと少し納得する。納得はするがやっぱり少ない。我が家には四五〇gのハチミツの瓶があるが、この瓶はいったい何匹のミツバチが…と自然と考えてしまう。
 私は朝ご飯はパン派である。ジャムを塗ったり、ハムや目玉焼きを乗せたりもするが、ハチミツを塗ってトーストにするのが美味しさ的にも手間的にも楽チンで好きだ。甘くて香ばしいほかほかのハチミツトーストをはくはくと食べていると、朝に弱い私の頭もだんだんと起きてくる。そんな風にいつものんびりしすぎて大学に遅れそうになるので、駅までは毎日ダッシュである。どうしたものか。
 どうしたものかと言えば、私は今年で大学三年。そろそろ就職について真剣に考えなければならないのだが、これも非常に難問だ。自分は何をしたいのか、どんな職業が向いているのか、いまだに分からない。そもそも社会に出るのが不安だ。このまま卒業してうまくやっていけるのだろうか。
 大学が終わった後、バイトやサークルがない日は駅前のカフェでレポートと格闘する。大きな窓の近くの席が私のお気に入りだ。パソコンのキーボードを叩く合間に、駅前の広場を行き交う人々を眺める。制服を着た学生たち、小さな子供連れの主婦、スーツを着たサラリーマン、おしゃれな帽子を被ったおじいさん。みんな働く、働いている、働いていた。私にもできるだろうか。
 こうして考えてみると、社会というのは一つのハチミツの瓶の様なものなのかもしれない。一人一人の働きは小さくとも、知らず知らずのうちにそれらが集まって社会を作る。出来あがった社会は、きっと皆の役に立つ。トーストに塗ってもいいし、料理の隠し味にしてもいい。
 そうだな、私だってティースプーン一杯分でも、働いてみせようじゃないか。

 

(完)

 

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