はちみつ家 > 蜂蜜エッセイ

ミツバチと共に90年――

信州須坂 鈴木養蜂場

はちみつ家

Suzuki Bee Keeping

サイトマップ RSSフィード
〒382-0082 長野県須坂市大字須坂222-3

 

蜂蜜エッセイ応募作品

飴色の宝石

雪鈴

 

 片付けが下手くそな母に、愛を込めて「不出来な母」と名付けたのは、私が小学校三年生の時である。
 シンク下に溢れ出た備蓄品を、年に二度整理するのは私の仕事だ。期限切れと、間近な物を分類し、いくつも貯め込まれた物は、今夜から消費していく。
 そんなシンク下の更に奥から、片手で抱くほどの蜂蜜瓶が、3つ出てきたことがあった。更に後から、小振りの瓶が申し訳なさげに顔を覗かせた。一体これをどうしたものか。瓶の後ろから差す陽が、飴色の液体を輝かせている。魅せられた私は、蜂蜜の上手な使い方を学びに、本屋へと駆け込んだ。
 蜂蜜に特化した書籍などない。見出しに蜂蜜が絡む書籍を集め、小出しに書かれた情報を拾い集めた。
 「蜂蜜って本当にすごい食べ物」
 健康維持に欠かせない。栄養素をエネルギーに変える役割を持つ。という記事を見つけた。皮膚や粘膜を良質に保ち、殺菌、抗菌に優れ、ビタミンやミネラルを多く含み、抗酸化作用が高い。まるで「万能薬」との事だ。
 とんでもない原石を掘り起こしてしまった。「最大効果を発揮する食べ方」
 ① 空腹時に② なめる
 を参考に、まずは、大学いもの製作にとりかかった。腹ペコの弟の笑顔に癒される。母も誇らしげであった。
 米をふっくら炊き上げると学び、ひとさじ。甘味が強いと聞き、飲み物にひとさじ。瓶の半分を消費すると、檸檬の輪切りを放り込む。肉を柔らかくすると知りひとさじ。ジャムの代わりにひとさじ。半分消費した後、丁寧に下処理した梅を漬け込む。そのままでは食べにくい梅干しを、小瓶に詰め替え蜂蜜で覆う。数日で、弟のおやつに変化した。もっともっととせがむ弟に幸福感を抱く。半分減ると、余ったプルーンをそのまま漬け込んでみた。さて楽しみだ。残るは小瓶一本。これは是非、じっくり創作料理に使わせて頂こう。誰にも思いつかない万能ソースを仕上げたい。小瓶の向こう側から差す陽が、きらきらと美しく輝かせている。

 

(完)

 

蜂蜜エッセイ一覧 =>

 

蜂蜜エッセイ

応募要項 =>

 

ニホンミツバチの蜂蜜

はちみつ家メニュー

鈴木養蜂場 はちみつ家/通販・販売サイト

Copyright (C) 2011-2024 Suzuki Bee Keeping All Rights Reserved.