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蜂蜜エッセイ応募作品

幸せを呼ぶ蜂蜜スイーツ

渡辺 碧水

 

 スイーツ男子がスイーツを作って幸せを呼んだという、投稿仲間Sさん提供のスイーツな痛快話をかいつまんで紹介したい。
 念のため補足すれば、スイーツ(スウィーツとも)とは、一般的には「甘い菓子」をいうが、ネット利用者が用いる俗語では「菓子やデザートを英語でスイーツと言い換える人をからかう言葉」で「笑」を意味する。
 ちなみに、「スイーツ男子」とは甘い食べ物を好む男性のこと。
 Sさんの息子(以降、息子と略す)は、絵も料理も得意だ。学生時代に同好会の幹事を引き受けた時、桜の小枝に絵符(目印の札)を結び付けて便りを添える企画をした。
 事前に作ってきた「チェリーハニースイーツ」なるものを、息子は参加者全員の前で披露した。それは、桜の花びらに参加者個々に似せた笑顔の絵文字を食紅で描き、その上から蜂蜜をたっぷり垂らしたお菓子だった。
 それから、そのお菓子をモデル主に一人ひとり手渡しした。
 結果は、皆が喜び拍手、さらに皆で口にくわえてまた拍手。笑顔を頬張ると、口中に蜂蜜の甘さが広がり、頬が緩んで幸せが満ちる。ハッピーな大爆笑に……。
 話題はSNSであっという間に広がった。早速、町の菓子店から息子に電話がきた。話はその面白スイーツを自店で販売したいというもの。もちろん、OKを出した。
 後日、プロの手で商品化された。特注とし、描く絵には贈り相手の笑顔、愛猫の似顔なども加えたから、評判は上々。予約者で店の前に行列ができるほどとなった。
 うれしいエピソードも。一つは、何も口にしなくなった病床の母に娘が似顔のスイーツを贈ったところ、ニッコリして一つを口にした。そして、蜂蜜の甘い液をゆっくり飲み込んだ。見ていた娘も看護師もうれし涙が込み上げたという。
 また、離婚危機の中年の夫婦の話。妻の似顔絵スイーツを注文し、夫が妻に献上したら爆笑になって、即座に仲直りしたという。
 後日談として加えられた一例は息子の結婚の話。交際中の彼女に決定打として笑わせて承諾させたのも、プレゼントした彼女の似顔絵スイーツだったそうだ。
 実は、考案者の息子は今、この菓子店の店長として働いていると、Sさんは満面の笑みで語る。幸せを呼ぶスイーツで、いま最もスイーツなのは八十代の父自身。エッセイに書く勇気も、孝行息子が作ったスイーツの美味しさが後押ししてくれたようだ。
 ご馳走様。

 

(完)

 

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