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蜂蜜エッセイ応募作品

言い訳

樋口 美来

 

 私は知ってしまった。幼いながらにメープルシロップの素晴らしさを。あの時、あの場所でメープルシロップにさえ出会わなければ、5歳の私はメープルシロップに浮気をするなどという過ちは犯さなかったであろう。 
 初めて蜂蜜を食べたのは4歳の時。3時のおやつの時間、母は焼いてくれたホットケーキの上に蜂蜜を1匙かけてくれた。砂糖とは違う、上品な甘さは、4歳児にでも「少し良いやつかな」というのは分かった。それからというもの、ヨーグルトを食べるにしろトーストを食べるにしろ、イチゴジャムではなく蜂蜜をかけるよう、母に迫るようになっていた。ある日、「アイスに蜂蜜かけて」と母にせがんでみた。しかし、「甘くなりすぎるからダメ」と流石に却下され、涙でアイスがしょっぱくなった事を今、思い出す。 
 これ程までに好きだった蜂蜜を5歳の時、私は裏切った。この日もホットケーキがおやつとして出てきた。しかし、一緒に出てきたのは蜂蜜ではなくメープルシロップだった。いつも少しだけ上にかかっている蜂蜜とは違い、いくらかけても良いよと言わんばかりに置かれたメープルシロップのボトル。大の甘い物好きの私。それはもう、沢山メープルシロップをかけた。それでも母は「かけすぎないようにね」と言うだけ。私は分かっていた。母が怒らない理由を。メープルシロップの方が蜂蜜よりも安いからだ。100g換算にすると約50円も違う。だから、多少多くかけても母は穏やかなのだ。幼い頃に知った、沢山かけても良いというメープルシロップの素晴らしさ。私はまんまと引っ掛かったのである。 
 何を言っても信じて貰えないかもしれないけど、高校生になった今はもう、蜂蜜の香りも上品な甘さもより一層好きになった。ヨーグルトにトースト、そしてホットケーキにも蜂蜜がいなければつまらない。満足しないの。だから約束する、絶対にもう裏切ったりしない、メープルシロップの甘い誘惑にも誘われない。私はこれからも、蜂蜜を食べ続けるからね。

 

(完)

 

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