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ミツバチと共に90年――

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蜂蜜エッセイ応募作品

自分も死んでしまう

山口淑江

 

古いドリカムの歌に蜂について歌った歌がある。蜂が針を刺し人を殺す歌なのだが、心中というものとして語られ続けている話である。愛し過ぎたあまりに後を追って自殺したという話である。蜂が針を刺し殺し、たった一度の誓いの口づけで心を潰したという歌なのだが、愛しすぎてというなにゆえ心中を選んだのかがその歌には欠けている。この愛しすぎてという件になると、フィクションの話になりがちだ。不自然な後追いや、その理由が愛し過ぎたからだというシリアスな話になる際の、近所に建った江戸家老宅より非現実的な話というものをフィクションなのではないかと捉えていた。心というものを潰してしまうことなく、そうした心中するまでに人を愛したことにより愛された心地で世界を美しいものと思っていたことがある。自分を食ってるんだという恐ろしい映画もあったが、心を潰すことがなかったら或いは今も世界は美しいものだったかもしれないのだ。歌の蜂は最後に針を刺したら自分も死んでしまうと言ってfin.となる。それを擬人化する人々は、不真面目でふしだらだ。そんなことに巻き込まれて死ぬのだけは嫌だ。蜜の甘さばかりを求めてやまない人も極まれば悪だが、個人的には柚子と蜂蜜でできた柚子茶が好きだ。

 

(完)

 

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