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蜂の巣のように考える

渡辺 碧水

 

 「一緒に働く(思考する)グループはハチの巣のようなものだ。それぞれが全体を構成するひとつの部品として働いている」
 この一文は、リチャード・テンプラーの著書『考え方のルール』(自己啓発書。日本語訳・桜田直美『できる人の考え方のルール』二〇二一年三月発行)の「ルール六十三、ハチの巣のように考える」の中にゴシック体で強調して書かれている言葉である。
 本書は、「考える」ことについて深く掘り下げて解説しているが、目新しさというよりも「当たり前のことを改めて気づかされる」構成になっている。
 「ハチの巣のように考える」は、自分一人よりも他人と一緒のほうが、思考の相乗効果が高まり、個々の総和では不可能だった発想も生まれやすいという考え方に立ち、「一緒に考えるための十のルール」の一つとして示されている。
 ここでは、直喩として「ハチの巣」が挙げられた。鳥でもクモでも何の巣でもよいのではなく、この場合の比喩に最もふさわしいものとして蜂の巣が選ばれている。
 だが、複数の人が一緒に考えるためのルールとして「ハチの巣のように考える」というのは、わかるようでも、必ずしもすぐにピンとくる例示ではないように思われる。
 では、見出しの「ハチの巣」とはどんなものだろうか。
 イメージとしては、見事なハニカム構造の集合体で、おいしそうな蜜で満たされた蜂の巣であるが、考える行動とは直接的に結び付かない。また、無数の蜂が寄り集まって、一見無秩序にうごめく、盛んで活発な動きが見られる蜂の巣の様相も、目に浮かぶ。
 動きのある後者の方が考える行動と結び付けてイメージしやすい。
 ここでいう「ハチの巣」は、多数の個体が一つの社会的組織を形成し、その中で全体のために効率的実効的に見事な役割分担を全うする個々の行動(生態や習性)のことを指しているのであって、その能力の高さや賢さを示唆している。そして、一つの巣の中に、必要とするすべての思考スキルが揃っていることも意味している。
 人のグループがプロジェクトに取り組むような場合、各人各様の能力や思考があり、それらすべてに生かされる場面が可能性としてある。いつ、どれを採り入れるかを決めるのはグループ全体の役割で、それが「蜂の巣のように考える」ということだろう。

 

(完)

 

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