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蜂蜜エッセイ応募作品

蜜蜂は小さな家畜(二)

渡辺碧水

 

 【同タイトル(一)から続く】
 「蜜蜂は家畜」との観点からは、蜜蜂が造る「蜂蜜やローヤルゼリー、プロポリス、花粉(ビー・ポーレン)、蜜蝋」などの産品を「畜産物」と呼ぶ。
 したがって、私たちが日ごろ、生肉や鶏卵、牛乳などへ寄せる「安全で美味しく、身体によい配慮」への関心は、蜜蜂産品に対しても同じでなければならない。
 「蜂蜜の果たす役割」については、別稿「蜂蜜はおいしい家庭常備薬」などで述べた。また、「蜂蜜の生産と流通と消費」に関しての必要な配慮は、多くの寄稿でふれた。
 ここで、蜜蜂の飼料(エサ)についてもふれておく必要がある。その事実を知ると、驚く人が多い。かつては私もその一人だった。
 「蜜蜂は家畜である」から「畜産物を生産させる」には「飼料を与える」必要がある。この説明には「確かにそうだ」と納得するのだが、養蜂業やその産品の生産・販売に関わっていない一般人には、意外と知られていない事柄である。
 蜜源となる季節の花々が咲き誇る山野を求めて、毎年、九州から北海道まで日本列島を移動して北上する養蜂家の「移動養蜂」がニュースになることがある。
 「良質で豊富な飼料を与える」との理解の下、大変だろうなと思いながらも、花々へ忙しく群れ飛ぶ蜜蜂たちの姿を想像し、ほほえましい風景を思い浮かべる。
 蜜蜂の食べ物は、エネルギー源としての花蜜と自らが造り蓄えた蜂蜜、タンパク源としての花粉が主食で、それに水。本来はそうであったし、自然では今もそうであろう。だが、養蜂では様子が少し違う。
 養蜂が成り立つには、健康な蜜蜂を確保し維持しなければならない。しかし、常に順調に確保されるとは限らない。巣の中に備蓄されている蜂蜜や花粉が何らかの理由で不足すれば、蜜蜂は弱り、餓死してしまうので、養蜂は成り立たなくなる。
 蜜蜂の食べ物不足は、梅雨の季節や悪天候、春の子育ての時期などに起こりやすい。
 そこで、養蜂家は、食料不足に備えて、花蜜・蜂蜜の代わりになる「砂糖水」などを、花粉の代わりになる「代用花粉」をあらかじめ準備しておき、必要に応じて給餌する。
 ただ、察するに、蜜蜂のエサ不足は、彼女らがせっせと備蓄した蜂蜜や花粉を人間が大量に横取りすることも背景にあると考えられる。
 蜜蜂を飼うのは蜂蜜を得るためであり、一時期は安価な配合飼料を与えて乗りきる。蜜蜂が家畜であり、蜜蜂産品が畜産物である所以は、実はここにある。
蜜蜂は花が大好きで、花蜜が豊富な季節は砂糖水には見向きもしないそうだ。

 

(完)

 

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