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蜂の巣のプレゼント

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 クリスマスのシーズンになると、仲の良い友だち二人とプレゼント交換会を行っている。予算は二千円、誰がどのプレゼントに当たるかはあみだくじで決める。プレゼント選びのセンスが問われる瞬間だ。ある年、私が当たったのが蜜のぎっしり入った蜂の巣だった。
 蜜が入った蜂の巣が売られていること、それを食べることができることを知らなかったので、その珍しさと特別感がすごく嬉しかった。選んだ友だちによると「前から蜂蜜たっぷりの蜂の巣をこんがり焼いたトーストに載せて食べるのが夢やってん。あんまり食べる機会ないし、珍しいやろ」とのことで、聞いた瞬間から想像でよだれが出そうだった。素敵なプレゼントだ!素直にそう思った。ちなみにその時に私が選んだプレゼントは、ハンカチと付箋だった。友だちの特別感満載のプレゼントに比べてあまりにも凡庸で、思い出したら恥ずかしい気持ちになる。
 プレゼント交換会の翌日、さっそくトースターをこんがり焼いて、蜂蜜たっぷりの蜂の巣を載せた。まず、香りがすごく良かった。甘い、でもしつこくない、優しい草花の香りがした。次に見た目がすごい。これはすごいとしか言いようがない。蜂の巣は六角形が連続して大きな形を作っているのだが、蜜蜂はどうしてこんな美しい正確な六角形が作れるのだろうと惚れ惚れする。テレビや本で見たことがあったが、想像していたよりもずっと一つ一つの六角形のサイズが小さかった。これは映像や写真で見るだけでは感じられなかったことだと思う。友だち、ありがとう!と思いながらさっそくパクリと口にほおばった。濃厚な蜂蜜の甘さが口の中にじんわりと広がった。砂糖の甘さとも違う、果物の甘さとも違う、蜂蜜の甘さは蜂蜜しか持っていない甘さだ。友だち、本当にありがとう!と味わった。溶ける蜂蜜と違い、巣はいつまでも口の中に残った。巣を精製した蜜ろうを使ったリップクリームなどを使ったことがあるのでなじみがないわけではないが、食べるのは初めてである。もちろん食べでも大丈夫な素材だ。今まで食べたことの無い不思議な食感だった。
 蜂の巣は、今でもクリスマスシーズンになると思い出す特別なプレゼントだ。今度は私も誰かに贈りたい。珍しいものが好きで、美味しいものが大好きなあの人なんてどうだろう、驚くかな、喜ぶかな、想像するととても楽しい。

 

(完)

 

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