はちみつ家 > 蜂蜜エッセイ

ミツバチと共に90年――

信州須坂 鈴木養蜂場

はちみつ家

Suzuki Bee Keeping

サイトマップ RSSフィード
〒382-0082 長野県須坂市大字須坂222-3

 

蜂蜜エッセイ応募作品

蜂蜜はおいしい家庭常備薬(一)

渡辺碧水

 

 「良薬口に苦し」という忠告や諭しの諺がある。大昔の中国古典『孔子家語』などが出典とされる名言の一つだが、語源は「よく効く薬は苦くて飲みにくい」という喩えからきているそうだ。
 私も子供のころ、粉薬を飲むとき、繰り返しこの言葉で諭されたものである。
 ところが製法が進歩した昨今では、多くの飲み薬は錠剤になり、その上「味気ない」ものとなっているので、有り難味の苦さを味わうことなく、容易に水で飲み込める。もはや比喩の語源的意味は死語化してしまったようだ。
 朝食後、夕食後、就寝前に薬を飲むのが私の日課だが、まったく苦にならない。
 飲みづらい苦い粉末状(散剤)のものが減って、飲みやすい無味の錠剤や顆粒剤等のものが増えた飲み薬(内服薬)の歴史的工夫・改良の過程では、蜂蜜が大きな役割を果たしたものと判断される。
 その証拠の一つは、一八八六(明治十九)年六月に初めて公布され、改正が重ねられ現在に至っている公定書『日本薬局方』に「ハチミツ」が載っているからである。
 これは、日本国内の薬品を統一し、正しい医療を行うための法令で、医薬品の性状及び品質の適正を図るため、厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて定めた医薬品の規格基準書。随時、改正版が出されてきた。
 最新の『第十八改正日本薬局方』は、二〇二一(令和三)年六月七日厚生労働省告示第二二〇号で示された。「医薬品各条生薬」の「ハチミツ」に詳細が記載されている。
 区分が一般用医薬品・第三類医薬品の市販の「ハチミツ」は、製薬会社の表示によって、薬効分類は「生薬主薬製剤」や「滋養強壮保健薬、その他の外皮用薬」などと少し異なるが、効能・効果は「栄養剤、甘味剤、口唇の亀裂・あれ」と同じである。
 以前には長期間、薬効分類が「矯味剤」、効能・効果が「矯味の目的で、または丸剤の結合剤、栄養剤として調剤に用いる。また皮膚・粘膜の保護剤として用いる」となっていた時期もあったらしい。
 本蜂蜜エッセイの第五回の掲載稿の中で触れた内容の繰り返しになるが、「矯味剤(最近は甘味剤)」は「苦い薬物に添加して飲みやすくするもの」であり、「結合剤」は「丸剤(錠剤)を製造する時に、粉末を結合させるために添加し、一定の固形製薬にするもの」である。ただし、市販医薬品「ハチミツ」自体はずっと液状(液剤)である。
 「良薬は口に苦し」から「良薬も口に甘し」への変革に、蜂蜜は一役買っていたらしいことを最初に指摘しておきたい。
 【同タイトル(二)へ続く】

 

(完)

 

蜂蜜エッセイ一覧 =>

 

蜂蜜エッセイ

応募要項 =>

 

ニホンミツバチの蜂蜜

はちみつ家メニュー

鈴木養蜂場 はちみつ家/通販・販売サイト

Copyright (C) 2011-2024 Suzuki Bee Keeping All Rights Reserved.