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蜂蜜エッセイ応募作品

勇気をくれた蜂蜜

みつき

 

 父が再婚したのは、私が中学生の時でした。その頃の私は、実母を病で亡くした心の傷が癒えぬまま、ただ淡々と毎日を過ごしていました。
 義母は、優しく、穏やかな人でした。実母が病に付していたので、手料理に縁の薄かった私は、義母の料理の美味しさに、とても感動しました。でも、「美味しかった」の一言を言えずにいました。
 今度こそ、言おうと決意するも、「ごちそうさまでした」と言うのが精一杯でした。
 陸上部に入っていた私は、夏休みも弁当持参で、練習に明け暮れていました。
 義母の作るお弁当は、とても美味しかったのですが、相変わらす「美味しかった」と言えずにいる私は、弁当箱を洗っておくことで、感謝の気持ちを伝えていました。
 ある日、弁当箱が2つになっていました。いつものお弁当箱と、小さいタッパーでした。
 そのタッパーの蓋を開けると、とても爽やかな香りとともに、鮮やかな黄色の輪切りのレモンが目に飛び込んできました。何かの液体に浸っているレモンを、酸っぱいのを覚悟して口に入れると、甘酸っぱい、食べた事のない美味しさのレモンだったのです。レモンが浸っている液体は、蜂蜜でした。レモン汁と混ざって、さらさらな蜂蜜になっていたので、全部飲み干しました。あまりの美味しさに驚くとともに、元気いっぱいになりました。
 今でこそ、蜂蜜レモンと飲料がありますが、40年前はありませんでした。
 蜂蜜に浸ったレモンの皮までも食べた私は、元気とともに、勇気も出てきました。
 今日こそ言おう。と帰路につきながら決意する私。
 すぐに台所に行き、
 「お弁当、美味しかったよ。ありがとう、お母さん」
 と言いました。母は、私からお弁当箱を受け取ると
 「よかったわ」
 と言った後、私に背中を向け、お弁当箱を洗いながら泣いてるようでした。
 私に大きな勇気をくれた蜂蜜とレモン。ありがとう。

 

(完)

 

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