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蜂蜜エッセイ応募作品

女王物質が蜂群を制する?(三)

渡辺碧水

 

【同タイトル(二)から続く】
 後者の例として、階級分化フェロモン、女王物質などが挙げられる。
 話を蜜蜂にしぼると、頻繁に語られるのは、巣の中心に陣取る女王蜂が、働き蜂の食料調達法から新しい巣の作り方に至るまで、指示的情報を出し、蜜蜂たちの社会的行動の全体を動かしているという話。
 これは、蜜蜂が発出する代表的なフェロモン、女王蜂が出す「女王物質」(女王フェロモン」の影響力の見事さを物語る。
 「女王物質」には、「触発フェロモン」と「起動フェロモン」の両方の多種多様な情報が含まれており、女王蜂の世話係の働き蜂たちが巣全体に行き渡らせる。
 蜜蜂社会においては、化学的な匂い物質であるフェロモンが「言葉」になって、触覚や嗅覚を使って仲間との意思疎通を図る。情報伝達のための「化学言語」といえる。
 女王物質は、女王蜂の大顎の付け根にある大顎腺から分泌され、成分は「九―オキソデセン酸」と呼ばれるものである。
 巣の中の女王蜂には、必ずといっていいほど十匹前後の働き蜂がとり囲んでいる(ローヤルコートと呼ばれる)。そして、触覚や口で盛んに女王蜂と接触している。
 分泌された女王物質を世話係の働き蜂が口でなめたり触角で触れたりして情報を受け、口や触角を使って次から次へと他の蜂へ伝達されていく。
 出された女王物質は次第に女王の体表全体に広がっていくので、世話係蜂が女王蜂をなめれば、経口的に体内に取り込まれる。働き蜂は、他の蜂と食物を口移しで交換するので、やがて女王物質は巣全体に広がっていく。結果として、女王蜂が巣全体を統制し、支配しているかのような様相になる。
 女王物質は蜂同士の口移しで何万匹にも急速に広がっていく。一方、女王蜂の体内でもすごい勢いで女王物質が造られているのだそうだ。
 この猛烈な代謝力には仕掛けがあって、女王物質は世話係蜂の体内に入ると、七十二時間以内に不活性な(化学反応がしにくい)ものに変わってしまう。
 不活性物資となった女王物質は、世話係蜂の体内で代謝分解されて、口からローヤルゼリーと一緒に女王蜂に戻される。
 そして、それは女王蜂の体内で再び活性化された女王物質に変換される。つまり、女王物質のリサイクルも行われているのだそうだ。
 【同タイトル(四)へ続く】

 

(完)

 

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