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蜂蜜エッセイ応募作品

女王物質が蜂群を制する?(二)

渡辺碧水

 

【同タイトル(一)から続く】
 ワイアット氏によると、フェロモンは「放出する側のために進化してきた信号」で、人間を含む動物の体内で造られ、体外に分泌後、同じ種属の別個体に一定の行動や変化を促す物質である。何気なく見ていたある現象も、実はフェロモンの働きだったと驚くほど多くの種類がある。
 見慣れた一例を挙げれば、散歩中の犬同士が尻を嗅ぎ合っている。言葉を持たない犬同士が、自分の情報をフェロモンを通じて交換し合っているのである。
 フェロモンと聞くと、匂いをイメージする人が多いようであるが、人間の場合でも、実はフェロモンは匂いとして知覚されているのではない。フェロモンは無意識下でわれわれの脳に直接働きかけ、ホルモンの分泌を促す。それによって身体が反応する。そのため、フェロモンが影響を与えているのも潜在意識だと考えられている。
 この数十年間、フェロモンに関する研究が急速に進んだが、科学者が最初に発見したのは一九五七年で、メスのカイコ蛾が発する物質だったとされる。
 蜜蜂の行動に関する研究によれば、フェロモンは蜜蜂のような社会性昆虫間のコミュニケーションにおいて、最も進んだ方法であるという。
 定義的には、「フェロモン」とは「動物または微生物が体内で生成して体外に分泌後、同種の他の個体に一定の行動や発育の変化を促す生理活性物質」である。
 分解すると、①同種の他の個体から分泌され、②特定の受容器で受容され、③情報は脳神経系で処理され、④行動や生理機能に特有の反応を引き起こす、化学物質である。
 ホルモンの一種であると説明される場合もあるが、区別するのが正しいらしい。
 「ホルモン」は「体内で分泌され、身体の各機能を調節するもの」である。
 この二つはどちらも個体内で生成されるが、ホルモンは体内で分泌され自分自身に作用するものであるのに対して、フェロモンは体外に放出され、他の個体に作用し影響を及ぼすもの、と理解すればわかりやすい。
 一般に昆虫のフェロモンは、他の個体に特定の行動を引き起こさせる「触発フェロモン」と、受容した個体の内分泌系に影響を与える「起動フェロモン」に大別される。
 前者の例として、性フェロモン、集合フェロモン、警報フェロモン、道標フェロモンなどが挙げられる。
 【同タイトル(三)へ続く】

 

(完)

 

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