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ミツバチと共に90年――

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蜂蜜エッセイ応募作品

蜜友(みつとも)

シツタマキ

 

 「福山雅治がラジオで絶賛していたやつだから。あのね、すごくいい蜂蜜だから。」そう言いながら、友人が、ずしりと重たい瓶詰めの蜂蜜を私にプレゼントしてくれた。十年前の私の結婚パーティーの時のことだ。茨城の田舎から都心の会場まで私のために彼女がわざわざこれを運んできてくれたかと思うと、なんとも有り難く、にこにこしている彼女の顔が涙で滲んで見えたことを覚えている。早々と結婚し二児の母になっていたその友人は、晩婚だった私の結婚を、「ようやく既婚仲間になった」と言って、ことのほか喜んでくれた。彼女はさらに、「煮物に砂糖の代わりに入れるとおいしく仕上がる」とか、「一歳未満の子供には与えてはいけない」といった、蜂蜜に関する知恵も授けてくれた。十代からの仲間の彼女とこんなオトナっぽい(主婦っぽい?)会話をする日がくるなんて。私は手に蜂蜜の重みを感じながら、その時、大人の階段を一つ上ったような気がした。
 教えてもらった通り、肉じゃがを作るときなどに蜂蜜を使いながら、しばしば彼女のことを思い出した。あとで調べたら、この蜂蜜は有名な養蜂場の一品だった。この贈り物に感激し、またこの品を非常に気に入った私は、以来、彼女を真似て、私よりもさらに晩婚の友人たちに、結婚祝いにこの蜂蜜を送ることにしている。「なんで蜂蜜?」と笑われることもあったが、「新婚の甘い生活に甘い蜂蜜はお似合いでしょ」などと返しつつ、蜂蜜とともに、彼女に教えてもらった知恵も一緒に先輩風を吹かしながら伝授している。
 若い頃、他愛もない会話で笑い転げていた私たちも皆、主婦となり母となった。全国各地に散る私たちは、実際に会うことは難しいことをそれぞれ知っている。それでも、私たちは、折に触れて、日々の生活での小さな発見や子育ての悩みなどを互いに伝え合う仲を保てている。私たちはいわば「蜜(みつ)友(とも)」。今も、蜂蜜がつなぐ絆で繋がっている。

 

(完)

 

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