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蜂蜜エッセイ応募作品

北海道で越冬の養蜂(五)

渡辺碧水

 

【同タイトル(四)から続く】
 宮地竜郎氏の最新の論文「北海道における西洋ミツバチの越冬を伴う定置養蜂技術の開発」(HACCPメールマガジン、百三十六号、二〇二〇年一月)には、道内養蜂家からの伝聞と断ったうえで、「道内で西洋ミツバチの越冬を伴う通年飼育を実施している養蜂家は認められるが、わずかであり、その飼育規模は非常に小さい」、また「道内での越冬成功率は五割程度」とある。
 越冬形態として考えられるのは、大別して次の四つであろう。
 ① 夏季と同様にそのまま巣箱を屋外に置く方法。
 ② 屋外に置くが、風雪等に配慮した場所を選び、防寒対策として巣箱の周囲を個別に通気性のあるカバー等で覆う方法。
 ③ 巣箱を屋内に入れ、納屋や物置等で室温等に配慮しながら保管する方法。
 ④ レンガ倉庫など、風雪雨や直射日光を避けて、全体的に温度、湿度、換気等をある程度操作的に管理できるように造られた大型の本格的な保管庫。
 いずれも、まだ試行錯誤的な段階にとどまる。長期に密閉に近い状態に置かれるので、かなりの率の死滅は避けられず、蜂群の中の生命力の強い個体だけが生き残る。
 ①は降雪寒冷地の北海道では全く不向きな形態で、寒さに弱い蜂群は死滅してしまう。
 ②③は、個人やグループの愛好家等が少数の巣箱を北海道で越冬させる場合に多く採用され、成功実績も上がっている。
 ④は養蜂業を本格的に営み、多数の巣箱を北海道で越冬させる場合に、比較的高い安全性を確保できるからこそ行える方法で、まだ試験的に行われ始めた段階にある。
 西垂水養蜂園の試行例は④に当たる。昨年四月に一行が美深町に運び込んだ蜂群は約四百万匹だった。今年の四月、越冬して元気に飛び立ったのは約十六万匹とある。
 越冬の試みに成功した喜びの記事であるところから、運び込んだと同程度の数で採蜜に当たっていたとしても、昨秋、美深に残して越冬させたのは、その一部、せいぜい二十万~三十万匹程度と推測される。
 写真からの想像にすぎないが、たぶん(農作物保管用として造られた?)高い大型のレンガ倉庫一か所内で、約二百の巣箱は、一定の余裕間隔を空けながら平面に二個対に並べ置く形で、庫内全体の温度や湿度、換気にも配慮され、暗くした静かな環境で、随時、状態観察が可能な状況の下で管理されたと思われる。
 【同タイトル(六)へ続く】

 

(完)

 

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