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蜂蜜エッセイ応募作品

北海道で越冬の養蜂(二)

渡辺碧水

 

【同タイトル(一)から続く】
 西垂水栄太さんには力が入る訳がある。
 毎年、開花期の夏、家族と共に滞在していたが、小学三~五年の時、少子化で閉校の危機に直面した美深町内の小学校から在籍児童確保のため頼まれて、山村留学の形で長期滞在した体験があったからだ。
 そして、昨年の七月下旬、美深町郊外の森林では、長方形の巣箱が並び、蜂が羽音を響かせながら、軽やかに飛び交った。栄太さんは「ハチが脂ぎったようにテカテカしているのが健康状態が良い証拠。巣に蜜が入っている目安にもなる」と、箱から蜜がたっぷりと詰まった板を取り出しながら笑顔で話した。
 さて、美深町は北海道の中央部上川地方の北部に位置し、面積のほとんどが森林で、農業と林業を基幹産業に発展してきた。内陸性の気候で寒暖の差が激しく、冬は日本屈指の豪雪と酷寒の地帯である。
 わざわざ鹿児島県南九州市の移動養蜂家が蜜蜂を越冬させてまでして養蜂を行うには、北海道北部のこの森林地帯にはよほど魅力的な点があるに違いない。
 西垂水養蜂園のオンラインショップによると、同園の北海道関係商品は美深・紋別産の「百花蜂蜜」と美深産の「ソバ蜂蜜」の二種類。
 百花蜂蜜は、アザミ、クローバー、シナなどの天然ブレンドの濃厚な蜜(六~八月)。
 ソバ蜂蜜(単花蜜)は、蕎麦(そば)の花の個性的な香りの蜜(八~九月)。
 また、オンライン情報ニュース『ワンストーリー』が二〇一九年七月、美深町にある三室だけの小さなホテル『青い星通信社』を紹介した記事の中に、オーナーの星野智之氏がこの地に移り住んで「特に心を打たれた食材」として、二つを挙げていた。
 その一つが西垂水養蜂園の蜂蜜。同記事には、栄太さんの談話も紹介されていた。
 「道北が養蜂に適している理由の第一は、なんといってもこの広さです。これだけの森林があって、これだけの草原がある。蜜を生み出す花をつける樹や草が、ここではともかく勢いがあって元気なんです。蜂蜜というのは、人が創り出すものではありません。あくまでも蜂たちが自然の中から集めてくるもの。だから蜂たちが自由に飛び回れて、森林や草原に恵まれた広大な大地は、養蜂にとって貴重なんです」
 西垂水一家にとって、美深町はいわば「約束の地」。だから彼らは、毎年、本物の蜂蜜を求めてやってきていた。
 【同タイトル(三)へ続く】

 

(完)

 

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