ハチミツのぼうや
わたしの母の誕生日は、いい肉の日だった。
11月29日。イイニクノヒ。
「面白いでしょ!」母はよく笑っていた。
私は、子どものときにその語呂を聞いて、何それスゴすぎると思っていた。ミラクルな誕生日だな、そう思った。
「良い肉の日!って言うと、人に誕生日を覚えてもらいやすいんだよ!」母はそう言っていた。なにそれ、いいなぁ!
また、父も、「今日はママの誕生日。いい肉の日だから、そのままお肉を食べに行っちゃおうか!」なんて家族に呼びかけて、みんなで出かけてお肉を頂いて、なんかお母さんがすごく羨ましかったのを覚えている。
そういえば、私の誕生日には、なにもないな。
何か私の生まれた日に言葉を、私にも、何か…何かなんかい!と思って、悲しかった記憶がある。
めちゃめちゃ探していた。
それは、諦めることなく、頭の中に「何かあったらいいな」の気持ちがずっとあった。
しかしまったく見つけることができずにいた。姉は子どもの日が誕生日で。インパクトがスゴい。妹も、北川〇子という美女と同じ誕生日だし。わたしには。私には何か・・・。ないのかよ。
んん?しかし、私はあることにハッと気づいた。
中学生後半の誕生日に氣づいてしまったのだ。私の誕生日は、「8月3日。」
8月3日!
まって! ハチミツ? 蜂蜜の日ではないか! しかも「ハチサンの日(蜂さんの日)」とも言えるではないか! え! めちゃめちゃハチミツに関係してる日だった。そして8月3日のイメージがすぐに浮かんだ。くりくりお目目のミツバチが頭の中に出てきたあとに、黄色のとろりとしたハチミツが思い浮かんだ。想像は広がり、黄色いクマさんが大事そうに握りしめている樽の図までも思い浮かんだ。えぇぇ! なにそれ、かわいすぎる。8月3日のカレンダーが急に色づいて見えた。
ミツバチとか、蜂さんとか、やばいな。かわいすぎるな。
それからというもの、私は、自分の誕生日は「ハチミツの日です。」と照れながら言っている。すると、「かわいい」と言ってもらえることがすごく、多い。
蜂蜜はかわいい印象が強いみたいだ。わたしはミツバチがこの上なく愛おしかった。元々蜂蜜は、特別な日にはヨーグルトにかけて食べていた。そして、ハニートーストでは1枚2枚とお世話になっていた。しかし、もっともっと蜂蜜が大好きになっていた。今でも蜂蜜の瓶や蜂の絵を見かけると、ありがとうという気持ちが込み上げてくる。一生一緒の誕生日、「ハチミツ」でホントに良かった。感謝です。
(完)
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