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ミツバチと共に90年――

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蜂蜜エッセイ応募作品

フンムキとハチミツ

こまけだら。

 

 「フンムキって何?」

 物語を読んでいた幼い私は、また謎の文字列に出会った。
 「噴霧器というのは、ミツバチを大人しくするための道具だよ。まずは銅板やブリキ板で作られてある筒形の吹き口をはずして、そこに火をつけた新聞の固まりを…」

 答えを得た私は、さっそく手元にあったスプレーに丸めた新聞紙をニ、三個ほど詰め込んだ。それから、目に入るもの全てに水を噴射した。母はまるでスズメバチのように怒り狂った。

 蒜山のロープウェイでは、運送されている私を容赦なく刺しまくるミツバチもいた。非力な少年にとって、無抵抗のまま蜂地獄を横断することは相当なトラウマだったに違いない。私はふと噴霧器のことを思い出し、養蜂家というのは化け物だと思った。

 その頃から、私はミツバチが嫌いだった。

 それから暫くして、昼間のテレビ番組でミツバチという生き物は相当怒らせない限り簡単に人を刺さないらしいということを知った。そして、刺せばお腹に穴が空いて死んでしまうだとか、蜂蜜を吐くのは命懸けだということもまた知ったのだった。

 

 そして最近、生物学に関する本を読んだ。どうやら動物というのは、どんな大きさでも一生のうちの心臓の鼓動の回数はほぼ同じらしい。もしミツバチも同じなんだとしたら、約五億回。日々、すごい速度でドキドキしているということなんだろう。

 そんな驚くほど早い時間の流れを悠々と生きてきたんだとすれば、彼らは私の大先輩だということになる。

 尊敬しなければいけないな、と思ったのだった。

 

(完)

 

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