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蜂蜜エッセイ応募作品

蜜蜂は匂いを触角で識別する

渡辺 碧水

 

 二〇二一年一月七日、中国のメディア「人民網日本語版」は、「中国科学院シーサンパンナ熱帯植物園」の化学生態グループ譚墾研究員チームが「茶の花に含まれる茶ポリフェノールがミツバチの記憶保持と嗅覚の感受性を高めることを発見し、国際的に権威ある英字学術誌『昆虫生理学ジャーナル』(百二十八巻、二〇二一年一月発行)で、その研究成果を発表した」と報道した。(同植物園は、中国南西部に位置する雲南省のシーサンパンナ・タイ族自治州にある)
 蜜蜂の嗅覚の感受性が高まるとはどういうことなのだろうか。
 「におい(臭い、匂い、香り)」の感覚を掌る嗅覚(臭覚)の受容器官は、人間のように、多くの哺乳類では頭部の前側にある鼻である。だが、昆虫類である蜜蜂の頭部の前側には眼も口もあるのだが、顔の中心部には鼻はなく、鼻の位置からアンテナのように左右に伸びている長い二本の触角が嗅覚の受容器官の役割を果たしている。
 なぜ鼻がなくて、触角なのか。
 蜜蜂は集団で暮らす社会性昆虫なので、個体間の信号伝達に「におい」の信号を使う。鼻に代わる触角が発達して大きくなった主な理由は、この嗅覚の重要さにある。
 蜜蜂頭部の顔の中心近くには短い毛で覆われた二本の触角が隣接して立っているが、雌(女王蜂と働き蜂)の触角は十二節、雄蜂は十三節からなっている。
 蜜蜂にとって触角は特に重要な感覚器官であり、自由に動かして外部環境を捉える機能がある。触角の表面には毛状、板状など種々の微小な受容体が存在しており、嗅覚のほかに、接触の感覚、味覚、温度や湿度、風の方向なども感知する。
 感知された信号は二本の大きな神経で微小な脳に伝達される。
 蜜蜂は、触角を機敏に動かして得られる匂いを手がかりに、生存のための食べ物(花蜜)を探し出し、仲間か敵かを区別し、また、種を保持するための異性を探し求める。
 学習・記憶力の保持と嗅覚の感受性の鋭敏さを高める花蜜があるとわかったことは、外界の危険に対する察知能力が上がるということでもあり、花蜜を集める作業中、天敵への防御能力を高めたい蜜蜂にとっては、うれしいニュースであろう。
 なお、「アンテナ」という語は、英語の触覚を意味する語に由来する。まさに、蜜蜂はアンテナを駆使して、匂いなどの感覚情報をキャッチしているわけである。

 

(完)

 

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