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蜂蜜エッセイ応募作品

蜜蜂は泣いたり鳴いたりする?(後)

渡辺 碧水

 

 【同タイトル(前)から続く】
 「クイーンパイピング」(女王蜂の鳴き声)は、巣の中に複数の女王蜂候補がいる時に頻繁に起こることから、候補同士の闘争のアピールであると考えられている。
 女王蜂候補の中で最初に誕生した処女女王蜂は王台から出た後、歩き回って、その一つ「トゥーティング」を頻繁に行う。その音が、トゥー、トゥー、……と聞こえるので、トゥーティグと名づけられた。
 トゥーティングは女王蜂が立ち止まって胸部を巣に押し付け、翅を閉じた状態で胸部の筋を収縮させ、胸部で共鳴させる。非常に大きな音が生じる。
 最初に産まれて女王の座を獲得したことを宣言する行為である。他の女王蜂候補への誇示であり、また、働き蜂へも誇示を通して、女王としての権威を示すのだそうだ。
 攻撃性が高く、巣内を歩き回り、ライバルを探して殺す。このとき、頻繁にトゥーティングをすることにより、働き蜂の同調行動を促すことにもなる。
 「クイーンパイピング」のもう一つの翅の共鳴音「クワッキング」は、王台の中から発せられる、まだ誕生していない女王蜂候補の訴えの音である。それが、クワック、クワック、……と聞こえるので、クワッキングとして区別される。
 攻撃的なトゥーティングに呼応、対抗して、自分こそが女王なのだと存在をアピールして発せられる音と解釈されるが、最初に生まれなかったがゆえに、働き蜂から王台から出ることを阻まれたり、出て攻撃を受けたりして発する悲鳴音とも解釈されている。
 この場合の後者の中には、発せられる音も違い、働き蜂に翅の基部や足などに噛みつかれ、いじめられているときの悲鳴や金切り声という意味で「シュリーキング」と名付けられ区別される音もあるそうだ。
 これらのクィーンパイピングの解釈について、実は、さまざまな議論がある。他には、他の女王蜂候補の出房を遅らせたり、働き蜂からの攻撃的行動を回避したりするなどの機能があるとも言われている。
 交尾後の女王蜂からは聞かれない発生音なので、何らかの形で新女王蜂間の競争に関わっていることは確かなようである。
 誕生直後の女王蜂が発する高音のクイーンパイピングが以前から知られていたが、近年、分蜂の合図など、働き蜂が発する音で、単調音の「ワーカーパイピング」(働き蜂の鳴き声)も報告されている。

 

(完)

 

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