はちみつ家 > 蜂蜜エッセイ

ミツバチと共に90年――

信州須坂 鈴木養蜂場

はちみつ家

Suzuki Bee Keeping

サイトマップ RSSフィード
〒382-0082 長野県須坂市大字須坂222-3

 

蜂蜜エッセイ応募作品

女王蜂も蜂蜜を食べる?(後)

渡辺 碧水

 

 【同タイトル(前)から続く】
 結婚飛行から帰った女王蜂は、その後はほとんど巣から出ることはなく、夏や冬の一時期を除き、死が近づくまで毎日卵を産み続ける。一分間に二~三個というスピードで、最盛期には一日に二千個以上も産むというから、一生に必要な何百万個という大量の精子の確保が必要である。
 精子の量を十分に確保するためには、十~二十匹の雄蜂と交尾しなければならない。精子の確保が不十分な場合は、日を改めてまた空中交尾に出かけることもある。
 そのための体力を付けるには、食事を一時、ローヤルゼリーから蜂蜜に変え、体重を減らして、体力の消耗に備えてエネルギーを溜め、結婚飛行の準備をする必要がある。
 次に蜂蜜を食べるときは、分蜂(巣別れ)に備え、体力を整えるときである。
 翌年の春になり繁殖期を迎えると、蜂群も出産ラッシュ。毎日二千匹も幼虫が羽化し、群勢はどんどん増え、巣内がスシ詰め状態の大所帯になり、どこも窮屈になる。
 この解消法は、巣を分割し、二つの群にすることである。
 一王制の蜜蜂社会では、もう一匹、女王蜂を増やす必要がある。
 新女王は一匹でよいのだが、不測の事態に備えて、念のため、複数の候補を育てるために王台はいくつか造られる。女王蜂はその中に一個ずつ受精卵を産みつける。
 そして、今までの巣は娘の新女王に譲ることになるので、現(母)女王蜂は、巣の半数の働き蜂を引き連れて分蜂し別の場所に移住するため、その諸準備を始める。
 新女王誕生の直前に行われる分蜂は空中飛行による旅となる。女王蜂の超グラマー体格は、大群を引き連れて新天地を探しながら行う空中飛翔には向いていない。
 急いで減量しなければならない。ローヤルゼリーを食べるのをやめ、産卵も一時休止する。だが、ダイエットしただけでは体力は持たない。エネルギーが必要である。
 そこで、長距離飛行に備えて、このときばかりは、スマートになった女王蜂も、他の同行蜂と同様に、蜂蜜を食べて胃袋を満杯にするのである。
 蜂蜜は、どの蜂にとっても、大空に向けて飛び立ち、飛翔を終えて新しい巣を造り落ち着くまでの間、大切なエネルギー源になる。
 女王蜂は、新居が整うと、またローヤルゼリーをどんどん与えられ食べて、たちまちのうちに以前の超グラマーに戻り、以前と同様に産卵を再開する。

 

(完)

 

蜂蜜エッセイ一覧 =>

 

蜂蜜エッセイ

応募要項 =>

 

ニホンミツバチの蜂蜜

はちみつ家メニュー

鈴木養蜂場 はちみつ家/通販・販売サイト

Copyright (C) 2011-2024 Suzuki Bee Keeping All Rights Reserved.