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蜂蜜エッセイ応募作品

女王蜂も蜂蜜を食べる?(前)

渡辺 碧水

 

 蜜蜂たちは、孵化し幼虫になり、三日ほどの間は未発達なので一様に、どの個体にも哺乳動物の母乳に相当する栄養満点なローヤルゼリー(王乳=乳白色のクリーム状の物質)を与えられる。
 しかし、その後は、働き蜂や雄蜂は蜂蜜(花蜜)や花粉を与えられて育ち、成虫になって働くときも、引き続き蜂蜜や花粉を食べて過ごす。
 一方、特別巣房(王台)で産まれ育つ女王蜂(羽化までの女王蜂候補も含む)は、そのままローヤルゼリーを与えられ続け、成虫になってからも同様に食べ続ける。毎日、たっぷりと食べ放題である。一気に肥満娘に成長し、やがて超グラマーの体格になる。
 ローヤルゼリーは、育児係の若い働き蜂が花蜜や花粉を食べ、体内で分解し合成し、唾液腺である下咽頭腺や大顎腺から分泌する物質である。
 このように説明すると、女王蜂が蜂蜜を食べることはないように思われる。
 ところが、自然な生態の場合だが、女王蜂も一時期、蜂蜜を食べるときがある。
 その一回目は、空中で行われる交尾飛行に備え、体力を整えるときである。
 主に四月~六月、羽化して一週間ほどが過ぎると、女王蜂は発情期(結婚適齢期)を迎える。
 ある晴れた日、いよいよその日がやってくる。女王蜂も雄蜂たちも、巣の中をそわそわと歩き回った後、それぞれ思い思いに巣の外へと飛び立つ。
 不思議なことに、発情期の女王蜂と雄蜂とは、同じ巣の中では、出会っても何の関心も示さない。兄弟姉妹はお互いに交尾の相手ではない。
 巣を飛び立ってはじめて、未知の相手を意識し、交尾(結婚)という行動に目覚めるのだそうだ。
 蜜蜂だけがわかる秘密の場所がある。交尾飛行を繰り広げる場所(婚活結婚式場となる空中のある地点)には、あちらこちらの巣から、たくさんの女王蜂と雄蜂たちとが集まって合流する。
 空中飛翔(婚活結婚飛行)では、他群の多数の雄蜂の中から優秀な遺伝子を備えた相手を選ぶために、雄蜂を誘引する魅惑的な性フェロモンを振り撒きながら大群を連れ回し、精一杯の乱舞を繰り広げなければならない。
 交尾は、女王蜂が雄蜂の交尾器をちぎり取るという壮絶な形で終わる。雄蜂は、女王蜂との結婚という望みがやっと叶った直後に死ぬことになる。
 【同タイトル(後)へ続く】

 

(完)

 

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