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ミツバチと共に90年――

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蜂蜜エッセイ応募作品

黄金色の灯火

長門イツミ

 

 ひと肌よりも少し温かく、けれども熱すぎることのない、蜂蜜入りの優しい甘水を飲むと、幼く、泣き虫だった少女の頃を思い出す。それは柔らかく無防備な記憶。幼い頃、私は身体の弱い子どもで、何がら年中熱を出しては、学校を休み、寝床で朦朧としてすごした。熱のさなか、火照る身体はいうことを聞かず、甘いお菓子も、美味しいご飯も、冷たいジュースも何もかもを身体が拒絶し、そんな自分を世界一不幸な女の子だと思っていた。いつだったか、母が蜂蜜を溶かした白湯を飲ませてくれたことがあって、私はそれをとても好きになった。母が透明のグラスに注ぐ淡い黄金色の飲み物だけが、優しく、私を暴力的に侵略することなく、軟らかに身体に染みこんでいく気がして、それがひどく私を安息させた。おとなになった今でも、体や心が弱っている時、その優しい色を思い出す。それは甘ったれな少女でいられた頃の記憶の味。風邪をひいたら背中を優しく支えてくれる人がいる、その平凡で特別な幸せの色。誰かの優しさが私を強く育んでくれたことをしる手がかりの色。今の私の内がわで消えることなく輝く優しく美しい、黄金色の灯火。

 

(完)

 

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