渡辺 碧水
高安和夫氏著の連載記事「ミツバチ目線で緑の街を」がついに終了した。
月刊広報誌『日遊協』に、二〇一六年一月から二〇二一年三月まで五年以上にわたって六十三回も連載された記事だが、これを読んだ人は案外少ないのではなかろうか。
蜜蜂や蜂蜜のファンの方に、ぜひお読みになるようお薦めしたい。
「日遊協(一般社団法人日本遊技関連事業協会)」のホームページで、この記事の全回分(バックナンバー)がすべて読めるようになっているからである。
略称「日遊協」という団体自体を知らない人が多いだろう。私もその一人だったが、この団体は、わかりやすく言えば、パチンコ、パチスロ業界の連合会である。
その団体発行の広報誌が『日遊協(NICHIYOUKYO)』なのである。養蜂業や蜂産品の業界とはとうてい結びつかない同誌に載り、長期にわたって連載されたのだから、意外という意味で興味深い。
少し補足すると、記事の内容は都市養蜂を中心とする最先端の話題が採り上げられている。著者の高安氏は、「NPO法人銀座ミツバチプロジェクト」の理事長(途中から同最高顧問)の肩書で記事を書いている。
同プロジェクトは、二〇〇六年三月から東京銀座のビルの屋上で蜜蜂の飼育を開始し、ホテル、レストラン、百貨店など銀座の老舗と連携した蜂蜜産品づくりや屋上緑化、地域の生産者との交流事業などを通して街の活性化に貢献してきた。
このいわば市民活動は、その後全国的に普及発展し、全国各地で街を活性化する明るい、ほほ笑ましい話題を提供し、しばしば報道されてきたので、「ミツバチプロジェクト」のことは見聞している人は多いに違いない。
同種のプロジェクトは世界的に歴史のある運動・活動でもある。私もいくつか内外の関連話題を当欄で紹介した。中でも、二〇二〇年二月初旬から中旬に連載された「先達を訪ね養蜂を知る」と「師匠と尊敬された元養蜂家」の作品は好評を得た。
蜜蜂をめぐる話題が遊技業界誌に掲載されるに及び、また、たぶん異例の長期連載に至ったのであろう経緯は詳らかではないが、多彩で豊富な話題に加えて、ともすれば「人間目線」が重視されがちな見方を「ミツバチ目線」にしたのが、話題をさらに興味深いものにし、新鮮さを提供し続け得たのではなかろうか。
(完)
蜂蜜エッセイ一覧 =>
蜂蜜エッセイ
応募要項 =>
Copyright (C) 2011-2025 Suzuki Bee Keeping All Rights Reserved.