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蜂蜜エッセイ応募作品

蜂蜜を乳児に与えてはならない(四)

渡辺 碧水

 

 【同タイトル(三)から続く】
 日本では、最初の発症例以降、「一歳未満の乳児に蜂蜜を絶対に与えない」という認識の徹底を広報で繰り返し行われてきたことが、皆無に近い成果をもたらしたと思われる。
 だが、森川嘉郎医師は、次のように述べて、問題提起をしている。(「ボツリヌス毒素と乳幼児突然死症候群」『小児保健研究』二〇一八年、七十七巻六号)
 ごく一部を抜粋して引用する。

 乳児ボツリヌス症は、アメリカで一九七六年に独立疾患として報告され、その後毎年約百例が報告されている。一方、わが国では二〇一八年までの過去三十二年間に三十六例にすぎず、その症例数に大きな隔たりがある。
 同症と乳児突然死との関係は当初から注目され、諸外国では突然死例の十~二十%がボツリヌス菌と関連していると言われている。
 日本での同症の少なさは人種差、生活習慣の違いがあるかも知れないが、医師の関心の低さ、臨床経験の少なさ、さらに検査機関へのアクセスの悪さが原因になっている可能性は否定できない。
 生来元気な乳児が突然死亡し、その原因が不明なら、ボツリヌス菌・毒素検査を行うべきである。
 死因が判明すれば、遺族の苦しみを軽減することになる。ボツリヌス菌関連死亡例が確認されれば、突然死に至る前に診断することに関心が高まることが期待される。

 乳児突然死症候群は、まれではあるが、生後三週間から一年の乳児の死因で最もよくみられるものの一つで、原因不明が多いそうだから、森川氏の指摘のように、ボツリヌス菌との関連を疑ってみる必要がありそうだ。
 先年、初の死亡例が出てからは、改めて「一歳未満の乳児には蜂蜜を与えないでください」の注意が徹底して広報されている。
 蜂蜜の瓶の注意書きを読まないで与える親は論外だが、早とちりの大人の中には、一歳未満という条件を飛ばして「蜂蜜は食べないほうがよい」と思い込む人や、「蜂蜜には毒素が入っている」と誤解する人もいるらしい。
 一歳以降は摂取しても「そのまま体外に排出される」ことを知っている人は意外と少ないといわれる。
 蜂蜜に限らず、何事も正しく周知徹底するのはなかなか難しい。

 

(完)

 

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