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蜂蜜エッセイ応募作品

蜂蜜を乳児に与えてはならない(一)

渡辺 碧水

 

 店で蜂蜜を買うと、容器のラベルには、たいてい「一歳未満の乳児には与えないでください」などという注意書きがある。
 当蜂蜜エッセイ第五回応募作品テーマ「生の蜂蜜は腐らない?(四~五)」(二〇二一年一月下旬掲載)の中でも採り上げ、その理由は「蜂蜜が生ものだからではなく、ボツリヌス菌を食する危険性を完全に避けるためである」と述べた。
 その際に同菌について説明したが、第六回応募作品テーマ「蜂蜜を犬や猫に与える」でも、生後間もない子犬や子猫には蜂蜜を与えないように、と述べた。
 気を付けて見ていると、関係機関などが蜂蜜について触れた文書等でも、同様の注意書きが添えられている。
 非常に重要な注意事項と思われるので、こうした措置に至った経緯を調べてみた。以前に書いた内容を補足する形で「乳児ボツリヌス症」と蜂蜜との関係を整理してみたい。
 「一歳未満の乳児に蜂蜜を与えないように指導すること」との通知が出され、保護者や関係者への周知徹底が始まったのは、一九八七年(昭和六十二年)十月二十日である(厚生省発信、都道府県衛生・民生部長宛通知「乳児ボツリヌス症の予防対策について」)。
 これには、乳児ボツリヌス症は「ボツリヌス菌を原因とする乳児の特殊な疾患であること」「一歳以上の者に蜂蜜を与えても本症の発生は無いこと」「いたずらに混乱を招くことのないよう適切な指導を行うこと」とあった。
 既にアメリカでは、一九七六年、同症の症例が報告されており、日本でも発生を防止するための対策の在り方について、検討が開始されていた。その「乳児ボツリヌス症予防対策検討会」から提出された報告書を受けての通知発信であった。
 国内での発症が危惧されていた中、一九八六年五月、千葉県で生後三か月の男児に日本第一例目の発症があり、検証が行われた結果、蜂蜜との因果関係が明白にされた(高機元秀ほか「乳児ボツリヌス症(本邦初発例)における毒素及び菌の検出」『日本細菌学雑誌』四十二巻、一九八七年。内村眞佐子ほか「乳児ボツリヌス症の原因食品に関する調査 ハチミツのボツリヌス菌汚染について」『千葉県衛生研究所報告』十一号、一九八七年)。
 罹患した乳児の便から検出された菌と同型の菌が、離乳食として与えていた輸入蜂蜜から検出されたため、同症の原因となった食品と断定されたのである。
 【同タイトル(二)へ続く】

 

(完)

 

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