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蜂蜜エッセイ応募作品

きっかけは蜂蜜

泰平楽

 

 退職後数年するとマンネリな日常に陥りました。楽しみにしていた晴耕雨読の暮らし、特に図書館通いも三年過ぎると読む本がなくなりました。子供たちは独立し、夫婦二人の生活も倦怠期に入りました。会話も少なく朝夕の挨拶も絶え絶えになり、これではいかん、と思い始めました。
 マンネリ脱却に取り組み出したのが野菜づくりでした。庭の一角を菜園にしました。といっても小さなものですが、種まきから始めました。春の小松菜、夏にはキュウリ、トマト、冬はカブなどでした。お裾分けが楽しみでした。ご近所にもお返しなし、を条件に貰ってもらいました。
 そんな夏のある日、蜂に刺されました。アシナガでした。治療を終えると「今度注されたら救急車で」と医者から言われました。ところがこれをきっかけに、蜂蜜を思い出しました。甘いものなど少なく、また高価なこともあってあまり口にできなかった子供の頃、茶箪笥から秘蔵の蜂蜜を密かに持ちだし、妹たちと分け合い美味しいと涙を流さんばかりにスプーンをなめ合った思い出が甦りました。
 蜂蜜を買って戻り、早速、妻に差し出しました。「あら、珍しい」久しぶりに見る生き生きした表情でした。「アカシア味というのがあったからね」二人の出会ったテニスコートの脇にはニセアカシアが数本あり、初夏には葡萄の房のような白い花を咲かせていたのでした。
 これをきっかけに思い出話に花が咲きました。懐かしい友人たちの顔が浮かびました。「今度テニスのあとに寄ってみましょう」「グッド、アイデア」「連絡は私のほうから」「頼むよ」などと会話は進みました。蜂蜜を契機にテニス再開です。倦怠期脱却の兆しが見えてきました。そこで「蜂蜜につられハニーに我が賢妻」習いたての川柳です

 

(完)

 

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