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蜂蜜エッセイ応募作品

(無題)

ぬい

 

 好きなものがある。毎年秋になると、祖母から箱いっぱいに送られてくる、真っ赤なりんごだ。いつも夕食後に剥かれたりんごをほおばる時間は、とても幸せな瞬間だ。いつだって、ジューシーで甘酸っぱいそれは、ずっと私を魅了してやまないのである。
 あるときふと、もっとおいしく食べる方法はないものかと考えていると、あるものに目が留まった。いつものように祖母から送られてきた、たくさんのりんごと一緒に入っていた、はちみつの瓶だった。これだ! そう思った私は、箱からりんごをひとつ選ぶと、小走りで台所に向かった。丁寧に洗って半分に割ると、いつものいい匂いがする。このままかじりつきたい気持ちをおさえて、種を取っていく。バターをのせて、その上からたっぷりとはちみつをかけた。軽くラップをしてレンジに入れて、あとは待つだけだ。しばらくして、いい香りがただよってきた。チン! という音とともにレンジを開けて様子をみる。どうやらうまくいったようだ。焼きりんごならぬ蒸しりんごの出来上がりだ。りんごのいつもの爽やかな明るい黄色は、きらきらと光る深い黄金色になっていた。半分はそのまま、もう半分はバニラアイスをのせて食べた。実は今まではちみつを食べたことがなかった。はじめて口にした、上品な甘さとコクがあるそれを、最後の1滴まで堪能したのだった。
 これをきっかけに、私ははちみつの虜になった。それからというもの、トースト、パンケーキ、ホットミルクにヨーグルト……、様 々なものにはちみつをかけたり混ぜたりして、日 々新しい出会いを楽しんでいる。

 

(完)

 

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