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蜂蜜エッセイ応募作品

こわいもの食べたさ

宇野木真帆

 

 はちのすをたべてみたい。そう思ったのは、テレビ番組でリポーターが食べていたからだ。はちのす、というよりはワッフルのようで、じゅわーっとあふれるはちみつが、とても美味しそうだった。たびたびテレビ番組ではちのすを目にしたのは、その頃がはちみつブームだったのだろう。そのたびにわたしは、食べてみたい、食べてみたい、と言っていた。そんなことを言う子供は珍しかったから、「はちのす食べたいの?」と母に驚かれた。
 それからしばらくして、はちみつブームは落ち着いたのか、テレビ番組ではちのすを取り上げることはなくなり、わたしも、食べたいと言うようなことはなくなった。
 そんなある時、母から、「はちのすをプレゼントしてあげようか、誕生日に。」と言われた。なんでもCMではちのすが紹介されたのを観て、わたしが子供の頃に食べたいと言っていたのを思い出したらしい。学生になっていたわたしは、うんともすんとも言えず、幼き日の無邪気な夢と葛藤していた。
 子供の頃には気が付かなかったが、はちのすには、蜂だけではなく、はちの子がいるのだ。蜂の巣ならまだしも、はちの子の巣、ということを大人になって知った今では、ワッフルの蜂蜜がけ、と夢をみていることはできなくなってしまった。けれどもやっぱり、幼き日のテレビ番組で観た、じゅわーと滴り落ちる黄金の液体を、口いっぱいに頬張りたい、という思いもある。
 と、何も言えずにいるわたしに、母からは、無理して食べるものではないと一掃され、はちのすの誕生日プレゼントは、あっという間になくなってしまった。
 大人になった今を思えば、自分で手を伸ばすには勇気がいるが、食べてみたいという憧れはあったのだから、プレゼントとしては最適だったのではないかと思う。
 今度はぜひ、サプライズで、プレゼントしてもらえたら嬉しい。

 

(完)

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