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蜂蜜エッセイ応募作品

野望を叶える蜂蜜

よもぎたかこ

 

 小さなころにおばあちゃんに焼いてもらって食べたホットケーキは、少し大きくて、レンゲの蜂蜜がかかっていた。
 子供心に、蜂蜜はチョコレートやキャンディとは違う、私にとってはほぼ初めての「あたたかくてあまい」世界だった。
 ホットミルクも、レモネードにも、あたたかくてあまくて、それでいて溶けていてしまっても風味が残って、じんわりとくる蜂蜜。
 そんな蜂蜜は琥珀色をしていて、ちょっとだけクセがある。そう思っていた。
 大学生になった私は、蜂蜜にも種類がたくさんあることを知った。
 種類が豊富であり、驚くべきはその個性だ。
 リンゴの蜂蜜は、大好きなりんごを切った時の蜜をひとりじめする感覚を味わえた。そしてリンゴを切った時のあの色をしている。
 クリの蜂蜜はミルクに垂らすと、365日モンブランが「飲める」錯覚に陥る味で、小学校の机みたいな色をしている。
 蜂蜜にも個性があり、私の「やってみたいけど実際そんなことできないから」をいともたやすく体験させてくれる。
 小さい頃は「あたたかくてあまい」、そんな範疇の蜂蜜だったが、大人になって種類を覚え、他の美味しいものを覚え、いろんなことを知ると
 ただ甘いだけじゃない、ささやかな「野望」を叶えてくれるものであることが分かった。
 今、社会人になって自立をし、お料理がちょっと得意になった私は、1ドル銀貨のパンケーキを焼くことができる。そして自費にて大人買いしたたくさんの種類の蜂蜜をテーブルに用意することもできる。
 1ドル銀貨サイズのパンケーキにちょっとずつ別種の蜂蜜をかける。なんという贅沢だろう。
 しかしこれで
 私は大好きなリンゴの蜜を独り占めしながら、飲むモンブランを同時に食べ、そして田舎のおばあちゃんの味を同時に思い出すことができるのだ。
 蜂が遠くに飛んでいくように、広がる世界に、広がる野望を楽しみに、たくさんの蜂蜜の種類を味わいたいものである。

 

(完)

 

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