浅井洋子
ここ数年、里のお墓にミツバチが巣を作り、刺されると危ないので、薬剤を散布したりして、追い出そうとしますが、追っても追っても巣作りをするので、よっぽど、ここが気にいったのか、他の動物に襲われないので、安全のためなのか、今は、そのままにしてあります。
でも、ふと、私は思うのです。昭和の時代、日本は戦争をしていた時期がありました。女学校に通っていた叔母が、軍需工場に働きに行き、空襲で爆死しました。
当時は食料不足で、みんな、いつもひもじい暮らしをしていました。
甘いものなんて、眼にすることさえありませんでした。叔母はさぞ食べたかったでしょうが、思いやりのある、やさしい子だったので、食べ物をねだることはしませんでした。
おいしいものも食べることもできず、お国のために死んでしまった叔母が、本当に可哀想です。
お墓の中にいる叔母のために、ご先祖様がミツバチを招いてくれたのではないだろうか。
甘いミツをたっぷり食べさせてあげるために、ミツバチは巣を作ってくれているのではないでしょうか。
ミツバチさん、おいしいミツを叔母に食べさせてくれてありがとう。
追っぱらってごめんね。
遠くから、ミツバチさんのご好意に感謝しております。
(完)
蜂蜜エッセイ一覧 =>
蜂蜜エッセイ
応募要項 =>
Copyright (C) 2011-2025 Suzuki Bee Keeping All Rights Reserved.