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蜂蜜エッセイ応募作品

ハチさんと私

なつこ

 

 原宿のある店で買い物をしていた私は、顔のそばに浮かぶ小さな黒い影に気づいて、言いました。「あ、ハチさんだ」。
 
 よく晴れた日で、入り口の自動扉が解放されていたため、迷い込んで来たようです。店員さんも気づいて、長い柄のついた虫取り網を持ってレジカウンターから出てきました。近くのビルの屋上でミツバチを飼っていて、時 々こうして迷い込んでくるのだそうです。私はしばし店員さんと「ハチさん」の追いかけっこを眺めていました。微笑ましい気持ちで。でも、以前の私だったら「ハチだ!」と怖がっていたと思います。親しみを込めて「ハチさん」と呼ぶようになったのは、数年前から。きっかけは蜂蜜でした。
 
 私は昔から胃腸が弱く、体調を崩すと胃が食べ物をまったく受けつけなり、病院の点滴によくお世話になっていました。でも数年前のある時、水一滴も飲めない状態でふと目についたのが、知人にもらった蜂蜜のビン。それまでは蜂蜜をもらっても使い道がよくわからず、蓋も開けないまま捨ててしまうという、かなりもったいないこともしていたのですが、その時は、「あれなら口にできる」と直感したのです。最初は、紅茶に溶かして恐る恐るひと口。すると、胃はそれを拒むとなく受け入れてくれました。そして、その日のうちに、蜂蜜をそのままスプーンで舐められるようになり、蜂蜜をつけたパンの欠片が食べられるようになって、体力が回復してゆきました。
 
 その時を機に、元気な時でも蜂蜜を愛用するようになりました。と、同時に、おいしい蜂蜜を分けてくれるミツバチに感謝をするようになり、親しみを込めて「ハチさん」と呼ぶようにもなりました。
 
 原宿の店に迷い込んだハチさんは、店員さんの優しい捕獲により、無事外に戻ってゆきました。蜂蜜と出会えたことで、こんなアクシデントも、微笑ましい出来事に変わります。自分の体に合うもの出会うことで、日常は豊かになるのかもしれません。

 

(完)

 

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