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蜂蜜エッセイ応募作品

蜂蜜を浴びる画像アート

渡辺 碧水

 

 二〇二一年一月、大寒の二十日、富山県射水市の高野山真言宗金胎寺で、修行の一環として行われる寒水行が始まった、と報道された。真言を唱えながら、住職が手桶に汲んだ冷水を続けざまに何度も頭からかぶり、地域と住民の安寧を祈るというもの。
 浴びる瞬間の大変さが連鎖を導いたのか、これを読んだ私の脳裏に、頭から蜂蜜を浴び、全身から蜂蜜が垂れ落ちる様子を撮った写真が浮かんだ。確か「ハニーアート」と名づけられていた。
 何年か前だったが、何でこんなことをするのだろう、奇抜なだけでどこがアートだ、こんなに大量に蜂蜜を使い、撮影後は捨てるのならとんでもない、と憤った記憶がある。
 念のためと記録データに収めたのを思い出し、保存したファイルから画像を取り出して、改めて眺めてみた。
 人物を主な被写体とした写真で、様 々な人種と容姿の一~八十五歳の人の全身に蜂蜜を浴びせて、琥珀の粘液に閉じ込める場面。人だけでなく、犬などの動物写真もある。
 男女のヌードをびしょ濡れ状態にして、滴る様子を撮ったものが多い。一度に四百キロの蜂蜜を使った場合もあるらしい。貴重さを思うと、呆れてしまう。
 蜂蜜を全身にかぶせて撮る作品は、米国の写真家ブレイク ・リトル氏が始めたらしく、『Preservation』(保存の意)という作品集を二〇一五年に出版している。物質の腐敗を防ぐ抗酸化作用を持つ蜂蜜を人や動物の全身にかけ、「生命の保存」を表現した作品だとのこと。
 言われてみれば、なるほどとは思うが、感心したり、素直に受け入れたりする気は起らない。目や口も蜂蜜に覆われている。見るからに窒息しそうで空恐ろしい。
 撮影モデルに志願した大人は、それなりに覚悟して臨んだのだろうが、子どもや動物に対しては虐待に等しい。
 奇抜さと斬新さが受けて、二〇一五年には、世界中で大きな話題を呼んだらしい。
 だが、その時だけで、奇行に追従したり、流行したりした形跡はない。
 蜂蜜は栄養価の高い貴重な食べ物。食を楽しむ範囲なら、工夫は歓迎されることではあるが、使用後捨てることが前提なら、蜂蜜アートは絶対にはやらないでほしい。

 

(完)

 

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