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ミツバチと共に90年――

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蜂蜜エッセイ応募作品

小さなお客さん

蜂鳥

 

 初夏の朝早くに、裏の畑に黄色い花が咲く。南瓜の花はよく目立ち、二階の窓からでも確認できる。
 ものの本には日が高く昇る前に筆など使って受粉させよとあるが、私は野菜の受粉作業を行ったことがない。ミツバチがやってくるからである。
 近所に住まう方が趣味で養蜂を始めてから何年経っただろうか。手作りらしい木箱に、雨よけのためかプラスチック製の波板を被せているのに気がついた時は、変わったことをされるものだと思ったものだが、今ではすっかり彼らの訪れが楽しみになっている。
 ブンブンと小さく軽い羽音をたて、丸っこい身体も愛らしく、働き蜂というだけあって季節を問わずうちの庭や畑を訪れては蜜や花粉を集めている。
 野菜の実りの為になるからありがたいというだけではない、ミツバチそのものの存在が愛しいのだ。朝夕冷え込む晩秋にチェリーセージのあざやかなピンク色の花に集まる姿など、畔の草も枯れ寂しくなっていく景色の中で生命の躍動を感じさせてくれる。
 めったにひとの訪れない田舎の家で、母が丹精した庭の花を、私が育てた野菜の成長を、ともに喜んでくれる小さなお客さんである。
 ところで我が家の花の蜜は一体どんな味だろうか。味見させてほしい、などといかにも厚かましいようで声を掛ける度胸もなく、ミツバチの帰宅先をただ眺めるだけである。

 

(完)

 

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