kana
カフェに行くと、いつもハチミツ入りのカフェオレを頼む。
この習慣ができたのはいつからだろう。そんなことを思いながら今日もハニーカフェオレを飲んでいる。
カフェオレしかない店では、わざわざハチミツをもらう。
家ではなかなかお店の味を表現できないけど、なんとか工夫して作っている。
ハチミツが、大好きなんだよね。コーヒーとミルクの優しい味に、ハチミツの甘さが加わって、ひと口飲むだけで幸せな気分が脳内に溢れてくる。心から癒される、私のとっておきのリラックスタイム。
私がコーヒーを好きな理由は、父と母が大のコーヒー党だからだ。両親の影響は絶大だ。好きなものは遺伝する。
でも、母も父もコーヒーを飲むときはただのカフェオレなんよなぁ……。
うーん、私のハチミツはどこからきたんやろ?
ここ数日、ハニーカフェオレを飲むたびに、なぜかチラリとそのことが頭をよぎる。
ハチミツさん、あんたどこから私の世界に入ってきたん?
あまりに気になったので、この週末に実家へ帰ることにした。社会人になると同時に家を出て早6年。還暦を迎えた父と母と、父の母であるおばあちゃんが暮らす家。両親が共働きで忙しかったから、幼い頃はおばあちゃんによく面倒を見てもらっていた。
「おばあちゃん、帰ってきたで」
襖を開けると、テレビを見ていたおばあちゃんはこちらを見て顔を綻ばせた。
手に持っている湯飲みから、甘い香りが部屋中に充満している。
「それ……ハチミツ?」
「ハチミツ湯、風邪ひいた時やらによう飲んだなぁ。かなちゃんも飲むか」
新しく入れてくれた湯飲みを受け取って、一口飲む。優しい甘さがダイレクトに頭の中に広がる。
「おいしい」
ああ、ここにいたんやなぁ、ハチミツさん。
小さい時一番一緒にいたのおばあちゃんやもんな。
好きなものは隔世遺伝だってする。
ハチミツはおばあちゃんの味やったんや。
おばあちゃん、愛情いっぱい育ててくれてありがとうね。
(完)
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