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蜂蜜エッセイ応募作品

ばあちゃんのホットケーキ

高橋瓜

 

 「ばあちゃん、ホットケーキ作って!」
 学校から帰ると、
 一目散に、ばあちゃんのところへむかう。
 「ふわふわの丸いケーキでな、あまい蜜がかかってるんよ!」
 ばあちゃんは、少し困った顔をしながらも、
 私のリクエストに答えてくれる。
 小麦粉に砂糖を加え、それを水で溶くと、
 油を薄く引いたフライパンで、まーるく焼く。
 上からは、たっぷりとはちみつをかける。
 「はい、できたよ。」
 目の前に出されたホットケーキは、幼い私でも
 これじゃないぞ?と勘づくくらい別物だったけど、
 とってもおいしかった。
 
 それからしばらくして、
 近所の喫茶店で食べたホットケーキは、
 ばあちゃんの作ってくれたものとは、まるで違っていた。
 きつね色に輝くふわふわでしっとりの生地に、
 バターとメープルシロップがかかっている。
 都会のハイカラな味がした。
 
 
 中学、高校と私が大きくなるにつれ、
 ばあちゃんに代わって、私がおやつを作るようになった。
 学校から帰ると、図書館で借りてきたレシピ本をみながら、
 せっせと作っては、ばあちゃんと一緒に食べた。
 ホンモノのホットケーキも、よく作った。
 焼きあがったら、バターをのせて、
 メープルシロップをたっぷりかける。
 ばあちゃんは、「ゆりちゃんは、料理が上手だねえ。」
 と、いつも褒めてくれた。
 
 
 就職を機に、
 私は実家を離れ、
 ばあちゃんとも、なかなか会えなくなった。
 
 「ばあちゃん、元気かなぁ。」
 嫌なことがあった日は、不思議と
 あの日のばあちゃんのホットケーキを思いだす。
 よく分からないのに、孫の話から想像して、
 一生懸命作ってくれた、はちみつたっぷりのホットケーキ。
 あの日のあの味は、私の大切な宝物だ。
 
 
 「がんばるんよ。」
 ばあちゃんの声が聞こえた気がした。
 
 あの思い出は、いつも背中を押してくれる。

 

(完)

 

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