はちみつ家 > 蜂蜜エッセイ

ミツバチと共に90年――

信州須坂 鈴木養蜂場

はちみつ家

Suzuki Bee Keeping

サイトマップ RSSフィード
〒382-0082 長野県須坂市大字須坂222-3

 

蜂蜜エッセイ応募作品

あの日の蜂蜜

白貝ルカ

 

 東京に蜂蜜の専門店が出来たと情報番組でやっていた。その蜂蜜店には30種類以上の蜂蜜を取り揃えていて、様 々な花から採取した蜂蜜を取り揃えているという。
 スーパーに売っている一般的な蜂蜜しか知らなかった田舎者の私にとって、画面越しで見たその光景はテーマパークのように映った。
 ある日、親に連れられて憧れの蜂蜜店に訪れた。試食として様 々な花から採れた蜂蜜を食べたが、幼い私はその美味なる違いが判らない馬鹿舌だった。
 出来ることならば全ての種類の蜂蜜を買い揃えたかった。でも、そんな小遣いを持っていない。私はなけなしの小遣いでひまわりの蜂蜜の小瓶を一つだけ買った。
 その日から私のおやつは蜂蜜になった。毎日ひまわりの蜂蜜を小さじのスプーンで掬い舐めた。甘い、甘い蜂蜜は私にとっては最高のおやつだった。
 あれから時が流れ、大人になった私は再びあの蜂蜜専門店に訪れた。そこにはあの日の店構えのまま、蜂蜜専門店があった。
 幼かったあの時と同じように蜂蜜を試食させてもらった。歳は取ったが蜂蜜の味が分からない馬鹿舌は変わらなかった。でも、幼い日、なけなしの小遣いで買ったひまわりの蜂蜜の味だけは覚えていた。私はあの時と同じように小瓶の蜂蜜を一つ買った。

 

(完)

 

蜂蜜エッセイ一覧 =>

 

蜂蜜エッセイ

応募要項 =>

 

ニホンミツバチの蜂蜜

はちみつ家メニュー

鈴木養蜂場 はちみつ家/通販・販売サイト

Copyright (C) 2011-2024 Suzuki Bee Keeping All Rights Reserved.