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蜂蜜高校生

ノンコ

 

 私は高校生の頃、朝ごはんを食べなかった。朝にお腹が空かないからという理由だったが、母は絶対に食べさせたい人だった。
 「朝に食べないと活力出ないわよ!」
 「だってお腹空かないから」
 反抗期もあってか、頑なに食べない私に母はかなり困っていたと思う。
 
 そんな時、テーブルに蜂蜜の瓶 ・かぼす ・カップがどーんと置いてあった。
 母が「食べられないなら飲みなさい!」と言って、かぼす2つ分の果汁にお湯と蜂蜜をこれでもか!というくらい入れて私の前に出した。母の苦肉の策だったが、意外にも私の朝にピッタリの飲み物だった。
 それから毎朝、同じ物を出してくれた。
 
 学校で「肌綺麗だよね~何の化粧品使ってるの?」と頻繁に聞かれるようになった。
 何も変えていないのに…。
 あ!もしかして!!
 帰宅して母に聞いてみた。
 「かぼすと蜂蜜って肌にいいの?」
 「あら、あんた知らないの?かぼすと蜂蜜はどっちも肌に良いって言われてんのよ。なんなら肌だけじゃなく体にいいのよ。昔の人がずーっと食べてるんだから間違えない!」
 
 何の説明にもなっていない気もしたが、母があまりに自信満 々に話していたので笑ってしまった。
 
 そんな私も今や二児の母になったが、娘が少食で困っていた時、母が「あんた伝家の宝刀あるじゃない!」と笑って言った。
 そんな私も娘にパンや果物と一緒に「かぼす蜂蜜」を出すようになった。
 
 母と2人で「先祖代 々、どこまで続くかしらねぇ」とケラケラ笑い合った。
 かぼす蜂蜜は我が家の伝家の宝刀になった。
 今度は親子3代でかぼす蜂蜜飲みたいなぁ。

 

(完)

 

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