渡辺 碧水
【同タイトル(二)から続く】
巣内温度は約三十七℃に保たれる。
すなわち、この加熱や保熱の行為がなければ、天然(生)の蜂蜜はできない。
あまりにも当然のことだから、あえて強調ほどの加熱処理には当たらない。
次の加熱は、採蜜後の工程で、不純物を取り除く濾過や容器詰めの処理作業を行う際、粘りのある蜂蜜を溶かして流れを容易にし、能率を上げるときである。
この処理の場合、高温熱ではなく、低温熱を加えて行うようにすれば、蜂蜜の含有成分を損なう問題は生じない。
これは広義の加熱処理には該当するが、「加温(低温)処理」であって、有効成分を変質させる「加熱(高温)処理」ではないから、むしろ適切で合理的処理といえる。
同様なことは、蜂蜜の結晶化防止や結晶後融解の処理の工程にも、当てはまる。
こうして見てみると、「生はちみつ」とは、殊更に「生=非加熱」を強調し宣伝するような特別な配慮の蜂蜜ではなく、当然配慮すべき条件の下で処理した普通の蜂蜜を言いかえたにすぎない。
もし、さらに「一切の」や「完全な」などの語句も加えられていたら、自社商品を沢山売りたいが故の超オーバーな表現とみなすのが賢明な受け止め方であろう。
「全国はちみつ公正取引協議会」は、「はちみつ類の表示に関する公正競争規約及び施行規則」で、蜂蜜のラベルに「生」という文言を使用しないよう勧告している。
(二)蜂蜜は決して腐らないか
最近のウェブ記事を一つ紹介したい。(二〇二〇年十月十五日、オリーブオイルをひとまわし編集部による。一部抜粋引用)
挙げた疑問の答えにピッタリの「ハチミツに賞味期限はある?『永久に腐らない』は本当?」というタイトルで書かれている。
「エジプトにある三千三百年前のピラミッドから、食べられる状態のハチミツが発掘されたという話の根拠は明確ではないが、実際にハチミツは永久に腐らないといわれている。なぜ、腐らないのか。
その理由は、まず水分が少ないこと。食べ物が腐るためには、腐敗菌が繁殖するための水分が必要である。
【同タイトル(四)へ続く】
(完)
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