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ミツバチと共に90年――

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蜂蜜エッセイ応募作品

蜂蜜の瓶

海猿

 

 小学生のころ(昭和三十四年当時)一日の小づかいが五円だった。夏休みの直前、担任の先生から通知表をもらうと、成績が上がっていれば十円をもらうことができたが、下がっていれば五円ももらうことができなかった。そんなとき、押し入れの奥に隠されているように、蜂蜜が入った瓶が置かれているのを知っていたので、私は母に内緒で瓶を取り出し、しっかり閉じられていた蓋を開けスプーンですくって舐めた。当時の飴玉と違い甘く濃厚な味がした。癖になる味だった。
 私は毎日のように舐めた。特に風邪を引いて喉が痛むとき茶碗に入れて食べさせてくれた。ある日、蜂蜜の量が減っていることに気づいた母は私に見えないところに瓶に線を入れていた。数日後、線より量が減っているのでばれてしまった。当時は貴重な甘味料だったが、母は私を叱らなかった。そのかわり蜂蜜の瓶はいつの間にか消えていた。
 しばらくすると、一日の小づかいが五円から十円に値上げされた。私は今年古希(七〇歳)を迎えた。今でも朝食のパンにはバターやジャムよりチューブ入りになった蜂蜜で食べる。甘くも遠い思い出となっている。

 

(完)

 

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