おぎわら じゅんこ
お腹が空くと、子どもたちが「フィーカ!」と叫びながら駆けてくる。
フィーカ、というのは、スウェーデンの幸福なティータイムのことだ。
北欧とは縁もゆかりもない我が家だけれども、子どもたちはどこからか『フィーカ』という言葉と概念を仕入れてきたらしい。
以来、我が家ではおやつタイムのことをフィーカと呼んでいる。
本場ではシナモンロールやクッキーがフィーカの定番だ。
我が家の定番は、例えばりんごにビスケット、ナッツにパンケーキ、時 々アイスクリーム。
そして隣にはたっぷりとした琥珀色の蜂蜜の瓶。
「いただきます!」
「ママ、もっと蜂蜜かけたい!」
賑やかな食卓で、私も紅茶にひとすくい蜂蜜を垂らす。
濃厚で甘やかな蜂蜜の香りが部屋中に満ちる午後、窓から差し込む光が蜂蜜の瓶を透過する。
「ママ、おいしいね」
リスみたいに頬張る子どもたちに私は笑った。
午後3時のリビングで、私たちは確かにフィーカを過ごしている。
(完)
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