渡辺 碧水
【同タイトル(一)から続く】
以降、三つの疑問点について検討を試みる。
(一)蜂蜜は生ものであるか
蜂蜜は、煮たり、焼いたり、干したりしないで、そのまま食べることが多い点では「生もの」の範疇に入るだろう。だが、日持ちがよく傷みづらい点では「生もの」と言えるかどうか、怪しくなる。
「生もの」でも日持ちの程度は物によっていろいろであるから、日持ちの非常によい例外的な「生もの」と理解すれば、やはり「生もの」と判断してよいだろう。
ところが、蜂蜜の説明で「生はちみつ」というように、「生(なま)」の語を頭に付けて言う場合が少なくない。となれば、蜂蜜にも「生」と「生でないもの」とがあることになり、いささかややこしい話になる。
これはこれでいったん置いといて、視点を変えて検討してみたい。
まず、定義らしいものを一つ挙げる。「生はちみつ」とは、「一般的に行われる加熱処理や濾過処理を行っていない、自然のままの完熟されたはちみつ」をいう。
「生はちみつ」という言い方は、特に、販売や広告において、蜂蜜の説明語としてよく使われる。「自然(天然)のままの」や「加工(特に加熱処理)されていない」という意味を強調するためである。
過敏に受け止めると、「やはり、生でない、自然のままでない、加工(加熱)処理された蜂蜜が多く売られているのか」と不安や疑いを強めることになってしまう。
こうした用語が使われるに至った経緯は複雑で、歴史も長い。
主要な観点である「非加熱(非加熱処理)蜂蜜」に関する諸問題や歴史的経過については、別稿で既に述べた(第五回、「朝しぼり ・夕しほり(一~二)」と「非加熱蜂蜜の表示(一~七)」ので省略する。
大胆に言えば、蜂蜜の製造保存過程での加熱(大半は「加温」の表現が適切)は避けて通れない、あって当然のこと。つまり、蜂蜜は百パーセント加熱されている。
まず、巣の中で、蜜蜂自身が羽ばたき熱によって、時間をかけて花蜜の水分を飛ばし、糖度約八十%まで高めてから、蜂蜜として巣房に保存する。
【同タイトル(三)へ続く】
(完)
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