白咲夢彩
皆に問う、はちみつとメープルどちらが好きか。
私は断然はちみつ派だ。なぜなら、あのとろけるような、ねっとりとした流れる蜜が、私の心を溶かすからである。
メープルはサラサラしているのに対し、はちみつには人の心を溶かす効果があると、私は勝手に思っている。
味もそうなのだが、甘くてとろけるだけでは無いのだ。私はよく、高いところから容器を持ち、下にあるクリームチーズやパンにかけてみる。クリームチーズやパンにたどり着くまでのはちみつが、とろとろと光り輝きながら、流れ、仕事前の憂鬱な朝の心を回復してくれるのだ。
もちろん、甘さにもとろけるのだが。この、とろりと流れる黄金の宝石を眺めるのも、私のはちみつの楽しみの一部だ。そして、パンの上に乗ったはちみつをじっと見て、朝日を浴びながら、キラキラのパンをくわえる。
パンをくわえるとじゅわぁと甘さと香りが広がり、私のお口を潤していく。朝の乾燥したお口の中は、これで満たされるのである。
甘い香りを部屋中に漂わせ、広げ、月曜日の憂鬱な部屋は甘くてキラキラな部屋に変わるのだ。
目から、お口、鼻。全てを満たして、私は今日も仕事を頑張ろうとドアを開けて出発するのだ。
「いってきます!」
さっきの憂鬱なんか、はちみつのちょっとした輝きが、かき消してくれているのだ。
私の朝のスタートは、朝日を浴びるように、はちみつの輝きを浴びているのかもしれない。私にとって、無くてはならない存在だろう。
あの甘くて輝く宝石を、明日も明後日も、ワクワクしながら食べていたいと思う。
(完)
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